第8話 やっぱり、俺は

 変な名前をつけられた子供も、みじめな気持ちになると思う。

 だけど、名前がないことも、俺にとっては、みじめ以外のなにものでもない。


「ワンエイスの末路にいたなら、何のワンエイスなのですか?」


「それが、わからないんだ・・・。


父親が人間なのは確実みたいなんだけど、母親が誰なのかも、何のクウォーターなのかもわかっていない」


「研究員の方には、聞いたのですか?」


「聞いても、答えてはくれなかった」


「うちと、同じなのですね。


うちの親が誰なのかもわかってないですし、何のクウォーターなのかもわかっていないのです。


ただ、わかるのは、人間の血の方が濃いということなのですよ」


 俺は、何なのだろうな?

 自分でも、わかっていなくて、それなら、誰にもわからない。


 俺は、何のために存在しているのだろうか?


 次の日、不良グループたちは、死んでいた。

 死んでいたというより、殺されたのだ。


 やっぱり、俺は大切な命を救えなかったのか・・・・。


 担任の先生が、ホームルームの時間に、生徒たちにこう言う。


「皆さんも、いじめとか絶対に行わないように。


いじめを行えば、天罰を受ける世界なのだから」


 そう、ここは「いじめ殺し」という奇妙な存在が管理している世界で、いじめをすることはもちろん、差別となる行為も許されない。

 いつ、どこで、誰が見ているのかわからない。


 学校が終わり、俺がいつものように家へ帰ろうとしたら、小さなリスがいた。

 ただのリスだろうと、気にしてなかったので、通りすぎようとしていた。


「小僧」


「俺のこと?」


「お主以外、誰がいるのだ?」


「誰もいないけど?」


 リスが喋ったと驚くことよりも、リスが喋った?という疑問の方先にでた。


「いじめ殺しを退治したいと思わないか?」


「思えないです。


思わないです。


俺は弱いし、無能で、研究所からも追放されるくらいなので」


「それは、お主が使い方とか、研究所にいるやつらも、真の能力っていうのをわかっていなかったんだろう。


こんな100パーセントのうち、1パーセントしか引き出せない能力で、戦うとか無理あるだろうに」


「どういうことですか?」


「お主は、自身の能力を自覚してないのだな。


うむ、貴様は、電気属性という1パーセントしか引きだせない能力を真の能力と勘違いして、本当の能力を引き出せてないんだ」


「どういうことなのか、全くわからないのですが・・・」


「こんなこともわからんとは、まあいい。


どちらにしても、お主は選ばれし者。


どちらにしても、わかる日がくるわい」


 こうして、リスは姿を消した。

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