異国の少年と激情の娘　――　支配樹の眠り

王都セレンシアの守護竜リーガルーダ。彼はただ一人の願いの為に、今日も生きている。

ある晴れた日に災害に見舞われた辺境の村。
恐れた村人達はチェリアを人柱に選び、山へと運ぶ。
暴れ括る縄から抜けだした少女は、大樹の根本で眠る異国の少年と出会った。



■陸の民と、空の民の守り人の契約

「『聖域の力で受けた傷は聖域の力で癒されましょう』だとさ」

「俺に死ぬのかと聞きましたよね？」
「ああ」

　目覚めぬ眠り姫の横顔に、ほっと頬を緩ませる。
　彼が守りたいと願い続ける国に嫁ぐ娘は穏やかな表情で至福の夢を見ているようだ。


■彼と彼女の初日

「まさかとは思うんだが」
「あれは脱走じゃないだろうか」

　見えない表情。
　怒っているのか、笑っているのかわからないが、ただひとつわかるのは、…続きを読む