この時代、癒花は女の命だった
【楽しくお仕事 in 異世界中編コンテスト優秀賞受賞】
癒花は神からの恩恵であり、美の象徴であり、女の命である。
古き時代よりある邪な大蛇の封印が解かれ、現皇帝白匣に倒されてから五年。
大蛇復活を機に女は美貌よりも癒花のあり方を尊重された。つまり皇帝に身染められたくば己に咲き誇る花を磨き、なによりも花を美しく魅せねばならない。
しかし人体より咲く癒花は普通の花ではない。
神より賜りし癒花を整えられる数少ない者を、人々は敬意を込めて『花結師』と呼んだ。
癒花が蛇苺である下級女官・草苺。
花よりも実がなる彼女は周りから奇異な目で見られていた。だが草苺は人よりも手先が器用であり、一部の女官達からは花結いを頼まれるほど。
ある日、草苺は癒花が傷んでいた女官の花結いをする。女官の癒花には不気味な蜘蛛が付いていて――――なんとその蜘蛛は癒花を害する毒蟲だった。
普通の人には視えないはずの毒蟲が視えた草苺は皇帝直々の命を受ける。
『毒蟲によって床に伏せる四夫人の一人――貴妃薔華の花結いをしろ』と。
貴妃薔華は皇帝の寵妃であると同時に、悪女と名高い後宮の荊姫。
そんな恐ろしい貴妃の癒花を草苺は整えることができるのか?
蛇だが育ての親である煤老師と皇帝直属である角宿とともに草苺は毒蟲に挑み、花を結う。
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