第21話 政府の発表

 2025年四月二日、午後一時に政府は重要な発表を国営テレビで行った。


不思議な事に各国も全て同じ時間での発表だった。


国民のほとんどが見ていた。と言うより見なければならなかった。深刻な顔をした首相が画面に写った。


(首相の黒崎です。これから重大な発表をします。まずは国民点数制の件ですが、国民の皆さまにはお手数をお掛けしました。お陰さまで決まりました。極秘でしたが地下に避難施設を作りました。規模が大きいので噂で知っている方も多いと思います。一施設当たり五万~十五万入居できます。

あと、民間の有志で海底マンションを作りました。これは販売しました。地下施設が全国で二百三十か所の二千三百万人。海底マンションが二百か所あり一千万人で合計三千三百万人が収容できる避難施設になりました。

もう感の良い方は分かっていると思いますが、避難施設は国民の二十五%しか入れません。ほぼ、四人に一人です。近い将来、災害が起こります。その災害についてはあとで御話しますが、子供を主体に点数の高い人、国家に必要な人を選びました。

選ばれた人達はもう避難施設に入っております。いま地上でこの放送を見られている方は選ばれなかったと思って下さい。国としては国民全員を避難させたいが・・・・災害が予想されたのは今から九年前で時間的と規模の大きさで全員を収容する施設を作るのは困難でした。これは各国も同じです。分かって下さい。

次に災害について報告いたします。今日の発表は世界中の各国全て同時です。それは災害が世界的規模だからです。九年前に国連主導で天文学者達がある恒星を調べていました。そして、重大な事が分かました。この恒星は一万年に一度の周期で地球の廻りを通過していましたが、今回が最も地球に接近すると報告がありました。その時に恒星の熱により地表の温度が上がるらしいです。影響される期間は三十日位で厳しい数値では五十~三百度になります。つまり、接触し始めが五十度で一番近づいた時が三百度となります。

恒星が接近する日は来年の四月二日~五月一日です。発表が遅くなったのもパニック・暴動を恐れ、各国が共通に極秘にしたからです。各国も状況は同じです。少しでも自分の国民を助けたいと思っています。避難施設に入れない国民の方にお願いします。日本民族のため、人類のため受け入れて下さい。私も断腸の思いで報告させて頂きました。次に副首相の報告があると思いますので希望を捨てずに聞いてください」


首相の顔が消えて画面が一瞬黒くなり、暫く静寂が続いた。

その静けさに人々は絶望した。


三百度は人が生きている温度ではないことは誰でも分かった。


災害は地震・噴火だと大部分の人が考えていた。

だから運が良ければ助かると思っていた。


でも三百度の温度は、地上の生き物は全て焼き尽くすだろう? 

みんな死を覚悟した。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る