第32話 三人の少女

 避難通路が爆発する前に大国の工場では、三千人の兵士の内千五百人が先に自衛隊の駐屯地を攻撃する予定でバスに乗っていた。


残り千五百人は地下に待機していた時にドーンと音と共に3階建の宿舎の十棟が激しく崩れて地下からの出口は塞がれてしまった。


これも元自衛隊の工科部の武内が仕掛けてあったものだった。


数日での撤去は困難なのでバスに乗った兵士は臨時政府攻撃に変更された。


俺の部隊も二百人程の部下が死亡した。


遺体の処理を副官と数人の部下に頼もうとした時に有刺鉄線の一部を飛ばされた塀の上に薄い影のような3人の少女が見えた。


右の少女は総裁の暗殺の時に見た。左の少女は副総裁を狙撃した時に

総裁の側にいた。

二人はゲームの中の姉妹で真中の娘は顔が緑色だった。この子もゲームの中の女の子だった。植物、海藻、藻などを自由に操る設定だった。


「私達は違う世界から地球を救うために来た。このまま悪い方向へ行くと地球は放射能で死の星になる。貴方が総裁を助けて副総裁を倒して少し時間が延びて希望が出てきた。そのお礼に私がこれから言うことを実行して下さい。貴方の部下の遺体を埋葬して弔らって下さい。それと地下施設で貴方に感謝して会いたいと思っている女の人がいます。会ってやって下さい」

と頭の中に声が聞こえて三人の少女は消えた。


俺は隣の副官に「三人の少女があの塀の上に見えたけれど、見たか?」聞いた。


「見ていません。大丈夫ですか?」と言われた。


ゲームの影響だと考えたが生死を争う戦闘の中で心は荒んでいた。何かに縋りたいとの気持ちで少女達が見えたと考えた。


そして、少女達の話を信じることにした。


「俺は亡くなった二百人の部下を埋葬し二十日間弔う。そして施設の中にいる人に会う用事があるので此処に暫く残るが残りの兵士を連れて臨時政府に戻って欲しい」


副官は承諾して兵士を連れ帰って行った。あの少女の言葉が重く感じられ会う相手は円華だと思った。


地下施設を作ったときに北側の山の斜面に五千人程入れる墓地を災害での死者を想定して首相が作ってあった。


門から北に向かって橋がありその先は道路になり二百メートル程行くと横に通っている道路にT字に繋がり、その奥に細かく区切られた墓地があった。其処に兵士を埋葬することした。


臨時政府では駐屯地から千五百名が帰ってきて千名の元暴徒の民兵が合流して五千名になっていた。


国会の出入口は数を減らして三か所にしてあった。


大国軍は一か所当たり五百名で攻めたが臨時政府軍に3倍以上の人数で防がれ

苦戦した。


そして、副官の率いる兵士がトラックで戻って来て重機関銃とミサイルで攻撃した。

大国軍は外と内から攻撃され指揮を失い降伏した。捕虜は八百名程だった。


大国人の兵士が素直に捕虜になることが変だとは誰も気が付かなかった。

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記憶を無くした俺は舞と暮していた。記憶が戻る事が舞との別れの時だった。 北宮 高 @kamiidehedeo

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