第3話 料理ができた
今日は昼食を近くのコンビニで買うように舞に言われていた。
お金を渡そうとしたので、持っているから大丈夫と断ったら悲しそうな顔をした。
ちょっとキツイ言い方をしたかも知れないが、何から何まで舞の世話になるのは嫌だった。が、舞が用意してくれたジャージを着て玄関を出ようとしたら、郵便受けに封書が入っているのに気が付いた。
大分前に舞が取り忘れたようでボックスの隅で埃を被っていた。
取り上げて見ると宛先は舞で差出人は杉並区役所の国民点数制課と書いてあった。
国民点数制の言葉は記憶にあったような気がした。
そのまま封書を玄関の框に置き出掛けた。
昼食を買ったが、前に調理した事があるような気がしてカレーのルウも買って来た。
冷蔵庫の中を見てカレーの材料があるのを確認した。
昼食を食べ終わると、「ザー」と激しい音がした。
外を見ると景色が霞むように強い雨が降ってきた。
ベランダに舞と私の下着がハンガーで干してあるのが見えてサッシを開け急いで取り込んだ。
その時、柔軟剤の良い香りがして家庭の雰囲気とはこんな感じかな? と想像した。
ハンガーは脱衣室に入れ空調をドライにした。これも舞から言われていた。
午後の情報番組では新興宗教の特集を放送していた。
(天受教)の名前の新興宗教で(天からの運命を全て受け入れて、その時が来るまで静かに生きよう、そうすれば神が救ってくれると)との教義で初老の白髪交じりの髪を肩まで伸ばしている教祖の写真が写った。
そして(2026年4月に天から災害が降りて来る)と予言していた。
このことも記憶に無かった。
午後5時を過ぎたので俺はカレーを作り始めた。
タマネギ、ニンジン、ジャガイモを切りフライパンで炒め、豚肉を鍋に入れ軽く火を通し、炒めた野菜と水を入れた。沸騰して灰汁を取りコンソメを入れて中火で三十分ほど煮込み、最後にルウを入れ五分程煮込んだ。
それで俺は調理が出来て何処かで一人暮らしをしていたと分かった。
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