第24話 円華からの電話
夜八時頃、宿舎で俺はゲームをしていた。
夢中になるソフトが二つあった。一つはハーフの姉妹が銃と剣でモンスターと戦うゲーム、もう1つが緑色の体の少女が色々な能力を駆使して地球を救うというゲームだった。
携帯が鳴ったが知らない携帯番号で女性の声だった。
「祐介さんですか? 円華です」
俺は以外な相手に驚いた。
「円華なの? どうした?」
「政府の災害の発表を見ました?」
「見たよ。円華はもう地下施設に入っているだろう?」
「入れなかった・・・・ 事務所の社長とか偉い人は入れたが普通の芸能人では無理でした。私の後輩の女優が落ち込んで鬱になっている」
円華のような有名女優が入居出来ないのは信じられなかった。
「臨時政府がビルの地下とか地下鉄に避難施設を作るから、其処に入れて貰えば良い」
「私も調べて問い合わせたら、ビルの地下はその会社の社員や関係者だけで、地下鉄は鉄道関係の人と利用している人しか入れなくてもう一杯と言われました。やっと見つけたのが山の中の洞窟で自由に入れるが、食料とか日用品は用意出来ないと言われました。場所も狭く水や食料も一週間分しか置けなくて、無くなれば外へ調達に行くしかない。外は高熱で出ていけない。そこで前に祐介さんが耐火服の実験をしていたことを思い出しました。耐火服を借りて食料の調達をしようと思って電話しました」
「女の子には無理だ。酸素ボンベを背負い耐火服を着たら何十キロにもなるから歩けないと思う。それにそんな時に食料を供給してくれる処などない・・・・ そうだ! 私が入る予定だった地下施設がある。1DKで二人では狭いけれど良かったら話をしてみるがどうだ?」
「祐介さんはどうするの?」
「俺は臨時政府の要人の警護をしていて国会の地下に入るから大丈夫だ。上官に確認して又連絡する」
そして携帯を切った。
俺は上官に事情を話して女性二人を俺の住居に入れてくれるように頼んだ。
上官は前例が無いことと廻りが全て警護隊とメンテナンス員の男達で女優達がいる事が分かると色々な面倒が起きて指揮にも関わると反対したが、事務局に空きがあるか確認すると言って電話を切った。
上官から早速2LDKを用意できたと連絡を受けた。
上官の話では政治家が自分達の5LDKと愛人用の2LDKを確保し、予備で2LDKを予約していた。国民の八割弱が入れない状況に酷い話しだった。
上官は政治家に首相の甥の渡辺に報告すると脅して2LDKを確保したと話した。
俺は上官に感謝して円華に伝えた。
円華は喜んでいたが申し訳なさそうだった。
俺は秘密通路の場所と入居する時間を連絡するための電話番号を円華に教えた。
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