第25話 巡回

 地下施設と海底マンションの出入口部分には暴徒が群がっていた。


臨時政府、行政の防衛軍は徐々に人が集まり軍の形を成していった。


最初に、防衛軍は避難施設の出入口に群がる暴徒は施設の警備隊に任せ、食料や物を略奪する暴徒を取り締まった。


通勤車両はいつもの乗客の半分を乗せて、店舗は半分が開き工場も5割程度の稼働率で動いていた。


臨時政府を立ち上げ国を荒廃から救ったことは各国にも伝わり、日本の臨時政府を参考にして、世界は秩序を除序に取り戻していった。


街頭では天授教が(この世の終わりを受け入れよう)と演説をして廻りには大勢の人が取巻き聞いていた。


とくに天授教の教祖が災害の日を予測していた事は国中に広まっていた。これも首相の計画の一つだった。施設に入れない人や年寄りに信仰させて出来るだけ暴動や反政府の考えを押えこむ為だった。


俺は部下の兵士百名程で都心を巡回していた。


街の中では色々な宗教家が演説していて彼方此方に人の群れが出来ていた。白装束で太鼓を叩きながら街頭を歩く集団もあった。


やっと舞の店がある地域の巡回になった。


舞の店が見えてきたが、店のショウウィンドーが割られて店内は服が散乱していた。暴徒に襲われたらしいので入ろうとしたら副官が「私が様子を見て来ます」と俺を止めた。


「上官に命令されていますので」言われ察しが付いた。


「このビルも地下があり其処に人々はいるはずだ」


「はい、分りました」

副官は店の横の階段を地下に降りて行った。


暫くして戻って来て「この店の二人の女性は無事です。問題ありません」どうしても合わせたくないようだ。


防衛軍の巡回で暴徒の数は減っていった。


ただ、地下施設や海底マンションの出入口に群がる暴徒は政府や権力者対する恨みで集まっていて思想を共用している組織で手強い相手だった。


大国の息の掛かっている集団も多くあった。

マシンガン、手榴弾、ロケット弾などを携帯している集団は明らかにそうだった。


大国の軍隊も少数でも全国に展開していた。


大国の工場では三千人の大国の精鋭部隊が待機していることは、俺も総裁も分かっていた。大国が動くのは災害が過ぎた後だと判断していた。

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