第11話 円華からの連絡
「キシツ、起きて、そのパジャマ洗濯するから脱いで」と起こされた。
パジャマを脱ぐと「こっちへ来てと」
ドレッサー室に連れて行かれ半袖の少し派手なシャツとダボダボなズボン
を渡された。
「今日はこれを着てね」
「随分派手だな?」
「ごめんね。これは前に翔が欲しいと二着買って、一着は翔が持って行ったの」
俺は多少抵抗があったが仕方なく着た。
今日はお昼前に舞の店に行き一緒に食事をしてビデオ店にいく予定だった。
電車の乗り継ぎなど舞がメモを書いてくれた。
昼前に店に着いた。
店の子が碌に顔を見ないで「翔さんが来たよ!」と舞に伝えた。
舞が困った顔をして奥から出て来た。
店の子は気が付いたらしく「あっ」と気不味い顔をした。
舞はプライベートな事はこの子には話していないな?
翔が度々この店に来ている。
それと翔がこの服を好んで着ている事が分かった。
店の側の定食屋で食事を済まし、ビデオ店で黒岩と円華が出ている戦隊物の最終シリーズを借りた。
そこで舞と別れたが、停車中の黒い高級車の中から写真を撮られたのは気が付いていた。車の中には黒に近いスーツを着た三人の男が乗っていた。
マンションに帰って来てビデオに写っている円華の顔を見ていると段々思い出して来た確実に恋人関係だった。
他の事も徐々に思い出して来た。
円華から円華の準主演の映画の招待券が届いた。その日の夜遅くに携帯が鳴った。知らない番号で03の市外局番だった。恐る恐る出てみると円華だった。
(お久しぶりです。元気でいました? 映画の招待券届きました?)
(届いたよ、お前こそ元気か? 忙しそうだし)
(忙しくて、睡眠不足で、きついけど元気です)
(円華、少し飲んでいる?)
(うん 少しだけ飲んでいる。今日ドラマの打ち上げがあって、さっき事務所に帰って来たの・・・・ 祐介にこんな話はしたくはないけど事務所の方針だから話すね。祐介と私は今付き合っていないと、そして以前は友達で男女の関係は無かったとして欲しいの。写真週刊誌が私の廻りを探っているので来たらそう言って欲しい・・・・お願いします)
(分かった。もう一年近く連絡もしていないし、事実付き合ってもいないから多分俺の処なんかに来ないと思う。この電話は?)
(事務所の電話です。もし記者が行ったらお願いします。それから携帯を変えたので前の番号は破棄してください。宜しくお願いします)
映画券は電話するきっかけで、携帯の番号は知られないように事務所から電話してきた。
黒い高級車が気になりベランダから車道の様子を見た。
やはり反対側斜線に止まっていた。
舞が帰って来て夕食の支度をしていた時に聞いた。
「舞、芸能事務所と繊維メーカーに携帯で掛けた?」
「ううん、店の電話で、なんで?」
「いや、何でもない」
「へんなの」
怪訝そうな顔をしたが恐怖心を与えるのは可哀そうと思い黙っていた。
電話番号から舞の店が分かり周辺を張っていた。
黒い高級車は俺が目当てだ、当然このマンションも分かっている。
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