第18話 狙われた理由
俺はメーカーの工場に戻った。そして上官に呼ばれた。
「とにかく無事で良かった。杉並区で大国の諜報員に襲われるとは想定外だった」
「やはり、大国は私を狙っていたのですね」
「そう、ヒロ殺害の件で狙っていた。ヒロは大国人兵士の間では伝説の英雄だったらしい。その仇討ちだと拘束した大国人が自白した」
「では舞は大丈夫ですか?」
「暫くは警護を付けるが、目的が祐介君だから大丈夫だと思う。それにしても警護の時には身分が分かる物は身に付けない規則が仇になったが」
預けていた俺の携帯を机の引き出しから出した。
「帰って来て早々だが新しい仕事の依頼がある。首相に継ぐNO2の政治家佐藤氏の警護を頼みたい。前にも警護したことがあると思うが? 本人からの依頼だ」
「えっ、一回しか警護はしていませんが? それに話をした事もありませんが?」
「佐藤氏は人を見る目は優れている。祐介君の行動、素振りを見てこの青年は欲がない。その分、何か目的を与えてやれば頑張るタイプだと言われた」
俺は真面目だと思われていて嫌だったが承知した。
「期間は一年で延長もある。交代制で日曜日は休みになっている。日程表は後で渡すから宜しく頼む」
「分りましたが、私が警護する予定のおじさんは大丈夫でしたか?」
「あー おじさんね、大丈夫だった。一度も狙われなかったらしい」
「おじさんが何故狙われたのか分りますか?」
「おじさんは地方の地下施設で施工図を書いていた。其処で大国人の監督と知り合い東京の政府の地下施設を手伝いに来た。宿泊していた大国の工場で黒岩と接触したらしい。黒岩より壁、爆薬、通路の言葉を聞いて上司の元自衛隊工科士官の武内氏に話したらしい。そして、捜索して地下施設の通路で高性能爆薬が見つかったらしい。取り除いた爆薬は地下施設の避難通路と大国の工場に仕掛け返したらしい。大国もその事は気が付いていないようだ」
「それにしてもおじさんは良く狙われなかったのですね?」
「大国の工場から出ているバスに乗って現場に通っているので何時でも拘束出来ると思ったらしい。そしておじさんが不審な動きをしなかったからだと思う」
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