第17話 SXフォーラム・裏

社長に呼ばれて通されたのは、講演会場の施設内の奥ーーやけに絨毯と絵画の質が良く、静かな廊下ーーさらにその最も奥の部屋でした。


これってVIPルームってやつじゃないですか?

どんだけ大口のお客さんなんでしょう。

そんでなんでわたしをここに通すゆですかねぇ。


部屋の扉が施設係員によって開けられました。


中には……上座に一人だけ。


他の社員は相手してないのかとか、相手も付き人はいないのかとか、色々言いたいことはありましたが、それは本題ではなさそうです。


王。


そこにいたのは王でした。


わたしはすぐさま扉を閉めた。

係員が仰天していますが、知ったことじゃないんですよ。

「なんと不敬な」じゃねえですよ。


確かに一般市民のわたしが王に対してこんな態度をとっていれば、そりゃ大ごとでしょうけど。

わたしが何者か、起承転結を丁寧に説明してやれば、分かってくれるでしょう?

そんな気はないですが。


と、社長が遠慮なく扉に手を掛けながら、


「どうしたんだ。久しぶりに親父と再会なんだぞ? 喜びなさい」


核心を突いてきやがりました。

なんだ、知ってたんですか。

ふざけてますね。


「産まれてから一度も会ったことない父なんて、会いたいわけないじゃないですか」

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