第8話 歓迎会
歓迎会は8人で行われました。
みんな、俺が仮配属された『首都グループ』の人だそうです。
シモーネさんの他に昼間に本社にいたマークさん、それから若い人やおじさん。
人間が5人、それから年齢不詳のホビットが3人。
「ファビオちゃん〜自己紹介頼むよ〜」
課長のアイザックさん。年齢不詳のホビットの中で唯一髭を生やしている、おじさんっぽいホビットです。
「わたし、もう自己紹介3回目なんですけど」
「1回じゃ覚えららないよ〜」
昼間にデモ練習でお世話になったマークさんが、哀れんで祈ってくれた。
しょうがない。
「えっと……ファビオです。いちおう成人してます。配属希望は開発部ですが、まずはちゃんと営業部で業界やお客さんのことを知ることが大事だと思っていますので、がんばります。よろしくお願いします」
まあ『営業なんてやりたくない』なんて本音は言えませんからね。
営業って誰でもできる仕事だし。
わたしはそんな枠に収まるつもりはないぞ。
野心を隠しながら丁寧に自己紹介を終えると、本日4回目の拍手が起きました。
「頼もしいなぁ! ファビオちゃん、明日からも色んなやつの商談に同行してもらうからな! よろしく頼むよ!」
アイザック課長が肩をバンバン叩いてきます。
背が小さいくせに無駄に力強い。
わたし女子なんですけど?
髪とか触んないでもらえませんかね?
なんなんだこのホビットは。
話は逸れるが、本来は『課長の○○さん』のように、名前と役職はくっつけずに呼ぶものらしいです。
社内はともかく、お客さんと接する時は要注意とのことです。
「じゃ、明日も頼むよ!」
「明日ですか?」
「そう! アーキテクト・エネミーに行ってもらうからね!」
今日の商談でも名前だけ聞いたところですね。
大きいところなのでしょうか?
「ちなちにアーキテクト・エネミーは、今バッチバチだから覚悟してね」
うわー、いやですねぇ。
ま、そんな怖いところだと見学が関の山でしょう。
「デモの一部もやってもらうからね!」
え?
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