第3章 転勤しよう!

第30話 自動馬車工業都市シヴァー・オブ・オフロード

首都ドンスレイシュからコントラ・バスと馬車を乗り継ぎ2週間。

着きました!

自動馬車工業都市シヴァー・オブ・オフロード!


見てください!

自動馬車がそこかしこを走っています!

首都よりも普及しているのは、規制緩和のおかげだそうです。


将来的には蓄魔力による馬レス化と機会学習魔法や3D水晶による自動運転化を目指していて、この都市はその車道実験のために作られた計画都市なんだそうです。

所有社は、都市と同名のシヴァー・オブ・オフロード。


さて、ロッタ先輩とは喫茶店で待ち合わせしていたのですが、見当たりませんね。


あの特徴的な金髪ツインテールの幼女(体型)はどこに行ってしまったのでしょうか?


と、遠くで注文の声が聞こえてきました。


「店員さん、わたしのお姉様になってくださらない?」


うわ、ありゃ金髪ツインテールだけど知らない人ですね。


「あらあら、可愛らしいお嬢ちゃんね。パパかママは一緒じゃないの?」


ほらほら、店員のお姉さんがロッタさんのこと迷子対応してますよ。


「失礼しちゃうわ。わたしは自立したレディよ」


「なら、お姉さん持って帰っちゃおうかしら。あ、はい、ほら、ジュースに甘い粉を混ぜてあげるわ」


あ、風向き変わりました。

案件です、これ。


私はロッタさんの首根っこを掴み、ドアの外に放り投げました。

セーフセーフ。


会計を叩きつけて、改めてドアを開けてお店の外に出ました。


おや、鬼の形相のロッタさんじゃないですか、こんにちは。


「新しいお姉様になってくれそうだったのに、どうしてくれるのよオタンコナス!」


ロッタさん、怒ると金髪ツインテールが回り始めるんですよね。

どういう仕組みなんでしょう?


「ちょっと聞いてる!?」

「あ、シモーネさんから手紙を預かってますよ」

「よこしなさい!」


荒っぽく手紙を奪おうとするもんだから、破れちゃいました。

「きー!」


ロッタさんが、補修して、正座して、読み始めました。

しばらくして、涙と鼻水を垂れ流し始めました。


「ハンカチ要ります?」

「ありがと。ちーん」


うわ、ばっちい。


「はい、返す」

「後で洗って返してください」

「へいへい。わたし、先輩だから後輩のワガママにもちゃんと優しく応えてあげますよ」


ムカつく先輩ですね。

手紙にはいったい何と書いてあったのやら。


何はともあれ、ロッタさんが臨戦体制に入ってくれました。

さあ、商談の作戦を練りますよ。


と、細かい疑問です。

「ところで、どこで作戦を練りましょう?」


強引に喫茶店から出てきてしまいましたので。


「また入ればいいじゃない」


正気ですか?





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