彼の顔が見えなくても、この愛は変わらない

幼い頃の事故が原因で相手の顔を認識することができなくなった知奈。


それでも小学校、中学校までは普通学級で過ごしてきた。


相手のクセや声を覚えていた知奈はそれまでに培ってきた友人関係を崩すことはなかったから。


だけど高校に入学して大きく環境が変化した。


この病気のことはクラスメートたちには相談できない。


カミングアウトすることで相手に迷惑をかけてしまう。気をつかわせてしまう。


そう思っていた。


しかし、今までうまく行っていた生活は一変した。


孤立する教室内。


理解されない孤独。


そんな中花壇で出会ったのは、私服姿のあなたでした。


いつも私服姿で花壇にやってくるのは彼だけ。


だから、知奈は彼を間違えることがなかったのだ…。