理想橋に差す光

中野区では連続殺人事件が起きていた。
三人の女性被害者は刃物で突かれた胸に花を挿されて遺棄されるという猟奇事件。
車椅子の少女、上野智恵は家の者が眠りについたタイミングで深夜外出を楽しみ、今日も何事も無く、誰にもバレることもなく終えるはずだった。
しかし、彼女が帰宅すると四人目の被害者が自宅の庭に遺棄されていた。
自宅周囲は二メートルを超す有刺鉄線を張り巡らせた板垣に覆われた半密室状態。誰がどのような手段で上野家に死体を遺棄したのか。四件目の事件から上野智恵は事件の渦中へと引き込まれていくこととなり、他人との共感を何より望む彼女は事件を通して共感を得られるのか。