第3話 急に記憶が来たので…
ああ…思い出した…そう言えばキッカケとか言ってたな、それがコレか。
俺の名前はザクルード。通称ザク。5歳。
何処にでもいる普通の村の子供。
小柄でいじめられっ子体質。ついさっきまでは。
「おら、わかったらサッサとどっか行けよザコザク」
そう言って俺に言ってくるのは、二つ年上のガーマンって奴。所謂いじめっ子だ。
コイツは村の広場で遊んでいた俺が気に食わないのかしょっちゅう絡んできては暴力を振るう。
現に今も顔を殴られて鼻血が出ている。痛い。
何か、前世でもこんな事あったような…まだ頭の中でまとまってないな、少し混乱している。
「だ、大丈夫ザク君…?行こうよ」
心配そうに話しかけてくるのは友達である同い年のカイル。俺より身体は大きいが俺以上の小心者でいじめられっ子体質だ。
「おら、早くどっか-」
ガーマンが言い終わる前に、顔面にジャブを放つ。鼻っ柱にクリーンヒットした。
「…えっ!? ザク君!?」
「いつまでも大人しくやられてると思うなよガーマン。やり返される覚悟はあるんだろ?」
「て…テメェ、許さねぇぞザクゥ!」
前世の記憶が戻りつつあるが、とりあえず後回しにして軽くジャブを打ってやった。やられたらやり返すの精神は大事である。
いつも大人しく殴られていた俺から反撃を受けたのが信じられなかったのか、キョトンとしていたガーマンだが、我に返って反撃してきた。
振り被り殴りつけようとしてくるが、大振り過ぎる、そして遅い…。
少し身体をずらして拳を躱し、体勢が崩れたところに足を引っ掛ける。
ハデに転げたなぁ。
「ガ、ガーマンさん!? 大丈夫っすか?」
「おい、ザク! テメェなんて事を」
騒ぐガーマンの取り巻き、確か…ケイヌとキンチだったか。多分そんな名前だったかな。
「うるせぇな…お前らもヤルのか?」
「ッ---」
威圧すると息を飲む2人、あ、3人か。カイルもビビってるな。人が変わったかのような俺を見るのは初めてだろうからな。実際変わったっちゃ変わったんだが。
「お、覚えてろよザク! いくぞお前ら!!」
走って逃げていくガーマン達。
やられ役のセリフまんまだなぁ、すげぇわ。
「あの…ザク君…? 大丈夫?」
「ああ、ごめん。あまりにも毎日毎日だからいい加減頭きてさ」
「そ、そうなんだ…ザク君って本当は強かったんだね…でも大丈夫かな?」
「え、何が?」
強かったのは前世で、今世はまだ全然だろう。だって子供喧嘩なんぞ強気に出てれば大体勝てるもんだし。
しかし、まだ不安そうにしてるカイルに問いかける。
正直、あんなのいくら来ても問題無いんだけど。
「あのね、ガーマンのお兄ちゃんって相当弟思いらしいから仕返しに来たりして…」
ほー、ガーマンの兄貴ねぇ。確か9歳のガキ大将だったか。
しかし、5歳児にそこまでやってくるもんかね。それはそれで今のザクとしての現状がわかってくるので良いのだが。仕返しに来たとして負けるのは癪だな…
「強いの?」
「強いよ! だって合同試武祭で8位だよ!? この村の子供じゃ一番強いって!」
「そうなんだ」
「そうなんだ。って…ねぇ今からでも謝りに行った方がいいんじゃ…?」
仕切りに謝りにに行こうと話しかけてくるカイルは半ば無視して俺はこう考えていた。
「面白くなってきた」
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