第22話 トラブルメーカーは誰

家に着き、部屋で鍛錬をしていると。玄関とドアが開く音がした。


「おーい!ザクいるかぁ!?」

「おかえり、エイト。何か用?」

「お前、この街きてまだ二日目なのに暴れてんなぁ?」


帰ってくるなり、エイトが問い詰めるように言う。


「暴れてるって…もしかして闘技場のことか?兵士の事か?」

「兵士ってなんだよ? 闘技場だよ、闘技場!ビックリしたぜ、何でもう闘技場に出てんだよ?選手登録とかいつしたんだ?あそこは結構出るだけでも大変なはずだぞ?どうやったんだ?ええ!?」

「いや、一気に聞くなよ…説明するから落ち着けって。というか、良く知ってるな」

「アレッタから聞いたんだよ」

「私が教えた」


アレッタはなんとあの会場に居たらしい。というか、闘技場マニアでもあるようだ。

12柱が来ると言う事で観に行ったら、何処かで聞いた名前が闘技場に出場してきて、よく見ると昨日会った子供だったので更に驚いたそうだ。


「ちょっとだけだけどザクに賭けた。もっと賭ければよかった」

「そうかい…まぁ損しないで良かったな」

「強いなら先に教えて」

「えぇい!賭けの結果はどうでも良い! んで、どうして急に出る事になったんだ?」


掻い摘んで事情を説明すると、ため息と共に呆れられた。


「お前、もう少し危機感持てよ」

「そうか?逃げる算段もあったから、別にまあ良いかなと」

「ザクは強かった異常」

「簡単に聞いたけどよ、そんなに強かったか」

「相手は強豪、試合観たことあるけど強い獣人。3級冒険者よりも強い」

「ほぉ、相手は強い闘士だったのか。ザク、怪我とか大丈夫か?」

「怪我なんてザクに無い。瞬殺した。異常」


アレは相手の油断があったのが大きいんだけどな。

次があったら今日みたいのは通用しないだろうし。

まぁ、それでもあの程度では相手にならない。


「さて、じゃあ兵士の方も事情を聞こうか?」

「あ、そうだった…」


そちらも事情を説明すると、先ほどより大きなため息。


「ザクはトラブルメーカー?」

「いや、今日はたまたまだろ?」

「まぁ、そっちは俺から警備隊長に言っておくから大きな問題にはならないだろうけどよ…お前ちょっとは大人しく出来ねぇの?」

「エイトより酷い」


エイトより酷いはショックなんだけど、絶対俺よりトラブル起こしてそうじゃんこの人。


「そういや、ロジックはまだ帰ってきてねぇのか?異能はどうだった?」

「ああ、異能は無いみたい。残念だったよ」

「そうか、まぁお前は異能要らなそうだな。むしろ有ったらもっとトラブル起こしそうだわ」


欲しかったんだけどな異能。

しかし、トラブルメーカーの汚名は返上したいといかんな。

明日から大人しくギルドの依頼受けるとするか。





---


そこから、1ヶ月。ギルドの依頼をこなしていき4級に等級がアップした。

受付嬢のフローラさん曰く、短期間で多くの依頼をこなせる新人はほとんど居ないので相当ランクアップは早く優秀だということ。

薬草採取とか、ゴブリンや魔狼といった弱い魔物や魔獣退治だしなぁ。村でやってた事とそんな変わり無い。

4級からは難易度の高い依頼も受けれるようになるようだし、この調子で行きたいもんだ。


「あ、そうだ。ザクさんに伝言を承っているのですが」

「伝言? へぇ、誰から?」

「サルヴァ様という方からですね。『3日後の昼くらいに闘技場』との事です」


ほぉ、闘技場にまた出してくれるのかね。

最近刺激が足りない毎日だったんだ、渡りに船って奴だな。

3日後か、予定は空けておこう。

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