第17話 孤児カーミラ『あたしの話を聞いて』

アタシはカーミラ。孤児院で弟と暮らしているわ。

歳は12歳で、自分で言うのも何だけど結構可愛いの。マザーも大きくなったら美人になるわって言ってくれるわ。


今日もいつものように、孤児院の皆で作ったアミュレットを売るために弟と露店の準備をしていたわ。

結構お土産に良いとかで評判も良いのよ?


ただ、今日は運悪く嫌な奴らに絡まれたわ。

この街を収める伯爵様の次男はスッゴク傲慢で皆から嫌われてるの、アタシは会ったこと無いけど、ソイツの取り巻きが兵士に何人かいるのよ。その兵士も傲慢でアタシ達を見下して嫌な奴等なの。

先月も別の孤児院の仲間が奴等に絡まれて怪我をしてきたわ。


その災難が、今日アタシ達に降り掛かってきたの。

アタシは弟を守る為に抵抗したわ、でも奴等アタシの顔を見てトンデモ無い事を言い出したのよ。


「おら、良いから早く出せ!じゃなきゃお前を犯しても良いんだぜ?」

「ギャハハ!お前そんな子供に欲情すんのかよ!」

「へへ、よく見りゃ結構可愛い顔してんじゃん。どうせ金なんてそんな持ってねぇだろうし、弟の前でヤッちまおうぜ」

「な、なによアンタ達…来ないで…」


信じられないわ。アタシはまだ子供なのよ!?

この時ばかりは可愛い顔に産まれた事を後悔したわ。美しい事は罪なのね。


でも、結局はそうならなかったの!

歳はアタシと同じくらい?の男の子がその場に現れたのよ。

見た目、結構引き締まった身体をしてたわ。

その辺の普通の子供とはちょっと違ってた、多分冒険者ねアレは。


顔?

そ、そうね…か、格好良いんじゃないかしら?

顔はどうでも良いのよ!


助けが来たかと喜んだけど、来たのは同い年くらいの子供じゃない?

兵士3人に何が出来るのかって話よ。誰か大人の人呼んでくれないかなって思ったのよ。

そしたらね


「よぉ!楽しそうに何やってんだ?」

「あぁん!? 何だよガキかよどっか行けや」

「ククク、イキるなよ半グレが。見てらんねぇよクズ」

「半…何だって?生意気なガキが殺すぞ!?」

「出来ねぇ事口にするなよ、お前らみたいなの見てるとイライラすんだよ」

「なんだコイツ。おい、お前らまずコイツから殺んぞ。逃げるなよ、ガキども」


って、格好良いわよね!?

一瞬でそこに痺れたし、憧れたわ。

多分あの子英雄になるわよ、間違いないわ。そしたらアタシを……


え?ああ、続きね…


兵士達は案の定怒ったわ。

標的がその男の子に向かったの。

悔しいけど、アタシはその時はその子が殺されちゃうとビクビクして弟を抱えて震えることしか出来なかったわ。

でもね、そうはならなかったのよ。ココからがスゴいとこなのよ!!


その子は兵士に囲まれても同様せず、普通にしてたわ。

その時、ふと男の子があらぬ方向を向いたのよ。

アタシも何かあるのかしら?と思って無意識に男の子が向いた方向見たわ。


そしたらね、気づいた時には兵士が1人倒れてたのよ!?

どうやったか分からないわ見逃しちゃったし。


それでね!

次にその子はもう1人の兵士に向かって行ったの。

兵士は剣を振ってその子を斬りつけたわ。アタシ、思わず目を瞑っちゃった。


でも不思議な事に傷一つ無かったのよ!?

えぇ!?って思うじゃ無い?

兵士も多分そう思ったんだと思うわ。そしたらね、その子がこう、パパパーンとパンチしてグシャッと腕を折ったの!

どうやったか詳しくって?

…ちょっとアタシには疾過ぎて見えなかったわ……


それでね!またココが格好良いんだけど


「ギャァァ!」

「て、テメェ!!俺達は兵士だぞ!? 牢獄へぶち込んでやる!!」

「お前…ココであった事報告できるのか?」

「な、何を言って-」

「死人がどうやって説明すんだ?」

「ひ……ヒイィ」


また、痺れたわ…死人がどうやって説明するんだ?

良いわよね、アタシもいつか言ってみたいわ…

アタシもちょっと冒険者になろうかしら?そしたらあの子と会えるかも?

それで、アタシ可愛いじゃない?やっぱり男の子ってそういうのに弱いじゃない?

でも最初からホイホイ着いて行くような安い女じゃないのアタシは。向こうから「どうしても」って言わせてね、仕方ないわねぇって感じで……


ああ、また脱線したわゴメンなさいね。

でね、残った1人もね、何かその子が軽く押しただけでね、オロロロロってゲロ吐いて倒れたのよ!

…下品だったわね、嘔吐して倒れたのよ。

それでお終い。


その子にお礼は言えたけど、名前は聞かなかったわ…

でも、冒険者っぽいから多分また逢えると思うの。その時は、ちゃんとお礼して名前も聞くわ。

何かお礼の品って必要かしら…?



「ねぇ、どう思うマザー?聞いてる?」

「えぇ、聞いているわよ。カーミラはお話が上手ねぇ…何回も聞いたから私も覚えてしまったわ…」


カーミラもカミーユも無事だったし、良い出逢いがあったみたいで良かったわ。私も会う事があったら是非その子にお礼したいわね。







後、何で最初に自己紹介したのかしら…?

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