第30話 ああ嗚呼ア亜
何…?今なんて言ったんだコイツ?
俺の村を滅ぼした?滅ぼしたと言ったのか?いつ?異端者の村だから?何を言ってるんだ?誰がやった?コイツがやったのか?教会?何で?異端者?俺が?母はどうなった?カイルは?他のみんなは?
「…なんて?今なんて言った?」
「混乱しているようだなぁ?ククク、貴様の村は壊滅、まぁ粛清よな。全員殺したぞ?
俺様も教会より依頼を受けたからなぁ、仕方なく私兵を出してやったのだ。
貴様もそうなりたく無かったら-」
言い終わる前にゴカミスの首を掴み、壁に叩き付ける。
「コバァ! ぎ、ぎざま…はなぜ…」
「死ね」
ゴカミスの首が180度回転し、絶命する。
側にいたローブの奴は既に姿が無い。
報告に言ったのか?どうでも良い。
「村へ行かなくては…」
壁に叩き付けた音で、異常事態を悟ったのか兵士が雪崩れ込んでくる。
「ゴカミス様っ!?」
「貴様ぁ、何をしたかわかっているのか!?」
「殺せ、生かしてはおけん!!」
コイツらはあのゴミカスの私兵か?コイツらがやったのか、俺の村を、母を、コイツらが!!!
生かしてはおけんだと、こちらの台詞だ!!!
「全員殺す」
殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す!!!!!!!!!!!!!
---
『サルヴァ様』
鳥が話し掛ける
「どうした?問題でも起こったか?」
『はい、ザクルード様はゴカミスを殺害、そして館にいた兵士、ゴカミスの私兵と思われる57名も全て殺害し、街を出ました』
「そうか、ご苦労だった。監視は解いていい」
『宜しいのですか?…正直あの者は危険すぎます……何の躊躇もなく57名を短時間で殺すなど…』
「良いんだ。俺が直接行く、馬の手配をしておけ」
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(ああ…あのゴミカスが言ってた事は本当だった…)
2日走り通しで辿り着いた村は、見るも無惨な状態だった。
崩壊した村を囲う塀、壊れた家、焼け焦げた跡、泥に塗れた誰かの服、靴。
(誰もかも…皆殺されたのか…)
ああ、村の広場に大きな穴が掘られている。
何のために?
いや、わかっている。わかっているけど分かりたくない……ダメだ見るのはダメだ。
穴には真っ黒な人の形をしたナニカが折り重なっていた。
「あぁ…皆。死んで、殺されてしまったのか」
頭が働かない、感情が動かない、何も考えられない。
皆、死んだ。
今世の俺の村のみんなが死んでしまった。そう言えば前世の知ってる奴はどうなったかな?
違う、前世は関係ない。
今世は酷いことするもんだな、前世じゃ考えられなかった。
違う!前世は関係ない!
今世では天涯孤独になってしまったな。
「違う!!!!前世なんて関係ないっ!!何だこれは!!!!何故こんな事になった!?」
俺の家に着いた。
それほど破壊された後は無い、知っている家、俺の育った家、優しい母のいる家。
家に入る、リビングに広がる血の跡を見て
「ああ嗚呼ア亜逢あアア唖愛あぁァ!!!!!!」
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馬を走らせ、サルヴァはザクルードの村へ到着する。
無惨に破壊された建物の残骸を横目に村を散策すると、まだ形の残る家の前にザクルードが両膝を地面につき、俯いていた。
「ザク」
ザクの反応は無い、もう一度強めに声を掛けるサルヴァ。
「ザク!!」
やっと反応を見せたザクがゆっくりとサルヴァを見る。
(何て目だ…深い闇のようだ…これはもう…)
「……サルヴァか」
ザクが掠れた声で言葉を発する。
「ここは、お前の家か」
「そう…俺の……」
「……首謀者が判った」
瞬間、ザクルードの目に光が戻った。ただ、その光は燃え盛る怨念、恨み。その類いであることが裏社会に身を置くサルヴァには解った。
「…誰だ?」
「聞いてどうするつもりだ?勘づいていると思うが相手は聖神教だぞ?復讐するつもりか?」
「黙れ!相手が誰だとかは関係無い!!良いから今すぐに教えろ!!」
(生気は戻ったが、どうしたものか…)
少し迷ったサルヴァだったが、このままザクルードを放置する事も出来ず、首謀者の名を伝える。
「首謀者の名は【
「……」
ザクルードは黙ったまま立ち上がり、何処かへ行こうとする。
「待て、何処へ行く?」
「決まっている、そのダミアンを殺す。邪魔をするなら聖神教ごと潰す」
「無謀だな、お前は聖神教を解っていない。死ぬだけだ」
「それがどうしたっ!?相手なんて関係ないと言っただろうがっ!!」
「落ち着け、復讐は止めないし聖神教を潰すのも良い。準備をしろと言っている、お前も解っているだろう?今のままでは返り討ちだと言う事を」
ザクルードは唇を噛み締め、悔しそうに唸る。
「……どうすれば良い?」
「先ずは街に戻るぞ、話はそこからだ」
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