#45

 大会当日になった。

 俺たちは試合が始まるまで、今やっている試合の様子を覗いていた。

 六チーム、優勝から順位決定まで計七試合が今日行われる。

 俺たちは二試合目が最初の試合になる。

 試合を待っている間で、用意していたペットボトルが一本空になってしまった。


「まあ気楽に」


「おじさんたちが本気出すから大丈夫だよ」


「刺さるなぁ……」


「ちなみに言っておきますけどこのチーム普通に強いですからね」


「はい……」


 分かりやすく緊張していたからか全員から励ましのような言葉を受けた。

 ミスしても負けても仲間のせい。

 とんでもない考え方だがプレイに影響が少なくなる……らしい。

 自分は悪くないと思い込むことを全員から叩き込まれた。

 この試合、前半ラウンドは圧勝で終わり、試合始めの時より明らかに雰囲気は悪化していた。

 後半ラウンドも圧勝に終わり、13対4という結果となった。

 俺たちはこうはなりたくないが、俺たちの相手のチームは世界大会出場者もいる。

 事故が起きる可能性はある。

 一試合目が終わり、二試合目の準備となった。


「よし、頑張るよ」


「死んでも報告」


「頑張りましょう!」


 心の余裕を保つには十分な時間があった。


「あ、今頃解説席は驚いているだろうね」


「相手も驚いてるんじゃない?」


 kqnrさんやDustarさんは面白そうに軽い口調でそう言った。

 俺のピックしたキャラはこれまで一度も練習試合でも見せてこなかった。

 相手の意表を突くためにキャラを変えた。

 勿論こういう役割はキャラの熟練度やゲーム理解が深いkqnrさんやDustarさんに任せるべきだ。

 しかしそこであえての俺ということにしたらしい。


「カバーは任せな」


「負けたら罰ゲームですからね」


「え?聞いてないぞ」


「それぐらいが丁度いいだろう」


 場に溜まった空気が一気に晴れた。

 まあいつもの感じでやるのが一番楽か。

 準備が整い二試合目……俺たちの最初の戦いが始まった。




 試合の調子が決まると言ってもいい最初の2ラウンドは……勝つことができた。

 そして圧倒的な力の差を感じた。

 ほとんどが敵のプロとkqnrさんの蹂躙に近かった。

 言ってしまえば二人をぶつけなければ先手を打った方が負ける。


「ナイスサポート」


「要りましたか?」


「うん、いいタイミングでフラッシュ入れるし良かったよ」


「一回間違えて……」


「僕が当たったのが悪い!そう思いなさい!」


 途中俺は間違えた位置にフラッシュを入れてしまいkqnrさんに直撃してしまった。

 なので謝ろうとしたのだがその考えが良くない。

 もう少し作戦会議をしたいところだが、ラウンド間の時間はそう多くない。

 それぞれが決めていた位置につき、人によっては罠などを設置しなければならない。

 なので作戦会議をしている暇などない。

 そうこうしているうちに3ラウンド目が開始した。




 11ラウンド目が終わり前半最後の12ラウンド目が開始しようとしていた。

 現在の試合の状況は8対3とこちらがかなり優勢を取れている。

 ちなみにこのゲームには攻めと守りが存在し、マップによってもどちらが有利不利が多少はある。

 それにチームによっても相性は変わる。

 俺たちはチームのキャラ構成、攻守の得意不得意を鑑みた結果攻めが得意なチームだ。

 なので攻めである現在はこれ以上負けたくない状況である。


「前半は9:3で勝つよ」


 12ラウンド目が始まった。

 恐らく相手は前の試合と同じ配置。

 確認できる範囲では、罠などが同じ配置なっていたし相手の索敵も同じだった。

 これなら前の試合と同じ入り方をすれば、崩すことができる。


「ミッド二人、配置変わってる」


『勝てる』そう思っていた矢先中央を取りに行った希華さんが負けた。

 希華さんの犠牲により、敵の配置が変わっていることが分かった。

 どうしようかと悩んでいる間に索敵キャラのドローンが飛んできて、全員見られてしまった。

 すぐさま他の人がドローンを壊したが、壊れる前にドローンから位置がバレる弾が飛んで俺に当たった。

 すぐさま壁の反対側から銃弾が飛んできてしまい、俺は呆気なく12ラウンド目を去ることとなった。


「下がろう」


 残った三人は下がり、反対のサイトへ急いで移った。

 反対側のサイトへ移ったことで爆弾設置までの時間が残り少しとなっていた。

 急いでサイト内に入り、二人倒して爆弾設置をした。

 ここからは攻守交替、爆弾が解除されないように守ることとなる。

 愛理さんとkqnrさんとDustarさんは皆強い。

 ただ相手も伊達じゃない。

 上手く立ち回られ、時間稼ぎの余裕もなくされ、12ラウンド目は負けてしまった。


「ナイストライ」


 攻守交替し予定通りの配置についた。


「あと四回、勝つよ」


 希華の言葉が俺たちを前へと押した。






「まずは一勝」


 そうSGWさんが言った。

 13対6で勝利した。

 まだ一試合目、まだまだ試合があるというのに、何とも言えない満足感がある。


「ふぅ……」


「kqnrさんお疲れ様です……」


 この大会現役のプロにはある縛りが設けられている。

 ハンドガン縛り。

 ハンドガンだけで戦っているというのに全くと言っていいほど枷になっていない。

 寧ろそれでも十分だと言わんばかりの蹂躙具合。


「凛斗君。次は元のキャラに戻そうか」


「はい……」


「まあ相手も対策がなっていなかったから結構ラウンド取れたけどね」


 サポートキャラはもう使わないと心に誓った。

 三試合目は最初の一試合目と二試合目で負けたチームが戦った。

 最下位と5位が決定した。

 かなり均衡を保った試合をしていた。

 そして、四試合目が始まり一試合目に勝ったチームとシードが戦っていた。


「うわぁ……」


「いい試合だけど……」


 どちらも全体のバランスを見たら同じだがシードチームの一人がスナイパーを持ち始めたら戦況が変わった。

 一瞬の隙も逃すことのない集中力、そして自在に操ることができる魔の手のような当て感。

 近距離戦に持ち込めれば勝てるが、相手の間合いに飲み込まれれば何もできずに倒れていく。

 そのまま無情にも試合は進んでいき、13対10で試合はシードチームの勝利となった。


「凛斗君にはあれを期待してるよ~」


「……今から辞退って間に合います?」


「無理です」


「はい……」


「負けたら罰ゲーム覚えてますね?」


「はい……」


 俺が愛理さんの尻に敷かれている様子で笑いに呑まれ皆の調子は戻ったが、俺は一切笑えない。

 愛理さんのにやけ顔が脳裏に映って、冷や汗が止まらなくなっている。

 第五試合が始まった。






 13対10、ギリギリの勝利となった。


「調子に乗って二丁スナはするんじゃなかった」


 希華から反省の声が聞こえてきた。

 ちなみに二丁スナと言っても自身が二丁持つのではなく、チーム内に二人スナイパー持ちがいるということだ。


「凛斗君がいなかったら、ただの戦犯になるところだったな」


「ありがとーりんとー今度飯奢るねー」


「よっしゃ」


 希華の奢り飯。

 どうせだ、高い物を頼んでやろう。


「私が無限にタダ飯食べさせてあげるのに……」


「金持ちに奢られるよりも美味いからな」


「それはただ性格が悪いだけじゃない?」


「奢ることにならないようにしなければ……」


 もしかしたらこれは他人の金で飯を沢山食える絶好の機会なのではないか?

 それにこの間の買い物で手持ちはかなり吹っ飛んだから、余計幸福感は増すだろう。

 そう考えたら俺は緊張感が若干消えた。


「私が養ってるのに他の人から奢られようとは……」


「タダ飯は美味い」


「昔から凛斗ってタダ飯好きだよね……それにあの食べてるときの顔ときたら……」


 中学時代だって今だって食べようと思えばいくらでも食うことはできるだろう。

 しかしながら、やはり他人の奢り飯とは格別だ。

 他人の不幸を目の前でそのまま食べるようなものだからな。

 他人の不幸は蜜の味といったものだが、憎しみと羨望の目を向けられながら食べるのだ。美味いに決まっているだろう。


「なんでだろう、背中に嫌な寒気が……」


「奇遇だな。俺も」


「凛斗君手加減願うよ?」


 そんな冗談?を第六試合の三位決定戦を見ながら話していた。






 第七試合決勝……

 2ラウンド5ラウンドと順調にラウンドを勝利していった。

 それからも調子よく攻守交替してもラウンドを確保することができた。

 いつの間にか11対7になっていた。


「あと二勝」


「次からもしかするとスナ出てくるかも」


「了解です」


 予定通りの配置へとつき、敵の進行をスコープの中を覗きながら待っていると……

 一瞬の隙だった。

 敵が見えてマウスをクリックしようとした瞬間……負けた。

 報告をし頭の中で負けた理由を考えた。

 位置はさっきのラウンドと変えている。

 肩が出ているなどの条件も練習していた時に確認してあの場所だったら大丈夫だった。

 敵のスナイパーは猛威を振るい一瞬でラウンドを終わらせた。


「あいつ感覚戻ってんな」


「どういうことですか」


「向こうのスナは元プロだが、スナだけでプロになったといってもいいぐらいの人間だからな」


「おじさんの反射速度じゃないねぇあれは」


 それからも向こうのチームはノリに乗ったのか13対12のオーバータイムまで追い込まれてしまった。

 あと一勝すれば勝てる、負ければまた二勝しなければ勝てない。


「……あと一勝」


 これまでの試合のような余裕感は一切なく、喋る余裕もなく空気が張り詰めていた。


「賭けるか」


 Dustarさんがスナを買った。

 オーバータイム中は一定額しか付与されず一番高いスナを買えば、アーマーはおろかスキルも満足に買うことはできない。

 勿論相手も同じだがそれでも向こうはこちらを数人削って生きている。

 そのまま試合は始まってしまい……開始とすぐにDustarさんは一人敵を倒せたが、


「やられた」


 すぐにカバーに入られ、逃げる間もなく負けてしまった。

 相手がサイト内に流れ込み、爆弾設置も終わってしまった。

 リテイクしようとしたが、皆敵のスナイパーに頭を抑えられ、上手く動けない。

 どうにかしようと考えていた時、目の前にあるDustarさんが落としたスナが見えた。

 今の状態でスナイパーを使うのはどう考えてもリスクがあるし、スコープを覗いたまま体を出すことは、こちらが敵を確認するより先に敵にバレることになる。

 しかし何故か目が離せなかった。


 周りの安全を確認して、スキルを設置しスナイパーを持って、敵のスナイパーの位置に銃口を向け、スコープを覗いた。

 幸い別のところを見ていたおかげですぐさま撃たれることはなかったが、こちらが静止する前に敵はこちらを向いてきた。


 その瞬間時間が停止したようだった。

 いや違う。プロの世界、たったコンマ一秒いやそれ以上の世界に飲み込まれたのだ。

 普通の人から見たら同時に撃ったように感じただろう。

 同時に銃声がしたように感じただろう。

 しかし決着はついていた。


「……倒せた」


 画面中央下にキルマークが出ていた。

 それを起点に全員で敵を倒し、爆弾を解除した。


「……勝ったのか」


「良かったぁ……」


「やっっっったあああああ」


 気が抜けそのまま椅子にもたれかかった。

 勝った。

 ただその一言だけが頭の中に残った。


「お疲れ、よくやった」


「今すぐ凛斗さんに抱き着きたいんですけど」


「インタビューがあるからやめようね?」


 余韻が抜ける前に、実況解説の人が入ってきてインタビューが始まってしまった。

 上手く頭も回らなくて中身のない会話をしてしまったような気がする。


「おや?凛斗君良かったね」


「え?」


 何事かと見てみると『悔しい ナイスショット』そう書かれていた。

 確かこの人は今戦ったスナイパー使いの人……


「いやまさか凛斗君があそこでスナ持つとは思わんのなんの」


「見てるこっちがドキドキしてた」


「なんかいけると思ったんですよ」


「まあ結果オーライ、ナイスショットだったね」


 多分普段の状態だったら絶対に持っていなかった。

 あの時緊張と恐怖で思考が搔き乱されていたのもあるのだろう。


「凛斗さん優勝したのでご褒美ください」


「勝っても負けてもかよ……」


 こうなるとは予想がついていないわけではなかったが、結局想像通りだった。

 本配信も終わり大会もようやく幕を閉じた。

 落ち着いて休めると思っていたが、そうではなかった。


「いやーまさかこうなるなんてね」


「皆さんまだ消化不良だったんでしょうね」


 二次会は6人でヴァ〇をする予定だった。

 しかしこのゲーム一チーム5人までなので、誰か一人は見ているだけになってしまう。なのでローテーション式で、チームメンバーを交代しようと思っていた。

 しかしDustarさんが試しに大会で使った鯖で「二次会ヴァロ募」と打ったところ、全チームでの突発カスタムが始まった。

 そこからはただひたすらにゲームというものを楽しんだ時間だった。

 まあコーチチームにボコされたりはあったが……

 何度目かも忘れた試合が終わり気が抜けた瞬間、内に溜まり続けていた睡魔なのか疲労なのかは分からないがそれが一気に頂点に達した。


「凛斗さん眠くなってません?」


「……ん?」


 まともに脳が働いていないのか愛理さんの言葉がぼんやりとしか聞こえなくて、なんと返せばいいのかも分からない。

 後ろの扉が開いて、愛理さんが何か言って何かした後に、俺は寝室へ運ばれた。

 ベッドに沈んだ瞬間もうだめだと思うこともなく、意識が消え去ってしまった。






 樹さんを寝室へ寝かせてきて、私はPCの前へ戻った。


「大丈夫そう?」


「あの人長時間配信慣れてないんで、多分どっと来たんでしょうね」


「無理させすぎたかな?」


「自己管理もできない凛斗さんが悪いです」


 朝まで配信をしたことがないのに無理をするからこうなる。

 まあ眠そうな樹さんの顔を見れたので、私としては満足している。

 寝ている時の顔は何度見たか分からないけど、睡魔に負けそうになって目さえ開けたくない時の顔は見たことがなかったけど、あまりに本能を刺激してきた。


「凛斗君がいないから訊くけど、正直どこら辺好きになったのよ」


「そうですね……」


 初めて凛斗さんの配信を見たときのことを思い出した。

 配信でやりたいゲームをしていて、どんなゲームかを知る意味でも配信を開いてみた。

 その時もいた立凛さんのコメントを見る限り、私のことをちょくちょく話してるからファンなんだろうなと思っていた。

 元々色々なVtuberを見てコメントしていたので『雪』のアカウントを使って、配信にコメントを残したり、さりげなく私のことをどう思っているか訊いてみたりしていた。

 丁度いい言葉が思い浮かんだので、それを言ってみた。


「好きな人にどこが好きって訊いて、普通の人が10個なら、凛斗さんは最低でも50個は言ってくれるところとかですかね」


 配信で私のことを語りだすと止まらない。

 勿論そういう人は何人も見てきたけど、配信で見せる姿と絶対に変えられない雪上愛理としての姿どちらも捉えて語りだす。


「それと……意外と世話焼きなところとか、本人は隠していると思っていても隠しきれてないところも……」


 私が風邪を引いた時なんか世話焼きが出てきて酷かったけど、嬉しかった。

 それにいつも私がするからしないと表面だけはそう見せているようにも見えるけど、実際細かいところで気が利くことをしてくれる。


「冷たいフリとか偶にしますけど、抑えきれなくてすぐ甘えてくるところとか」


「雪ちゃん落ち着こう」


 希華さんに声を掛けられて、我に返ったけどもう少し惚気たくて……


「あ……これじゃあ凛斗さんと一緒ですね」


「ダメだ惚気が止まらない」


「わざとですよ」


「なおの事酷い。カップルチャンネル見てる気分」


 実は私と凛斗さんのカップルチャンネルを作ろうか悩んでいた時もある。

 ただこれ以上凛斗さんをsiveaに巻き込むと流石に社長にも樹さんにも怒られてしまう。

 本当は一緒に配信するとかはまったく案としてはなかったけど、私が無理言って広げることにした。

 アイドルとしての雪姫雪花は価値が下がってしまうけど、私がなりたいのはただの配信者。アイドル売りさせたい会社としては大きな痛手になるかもしれない。

 無理言ってやった結果上手く昇華することができたし、個人Vや配信者と関わりを持つように流れを変えることができた。

 会社とリスナーの皆には私は頭を上げることができないほどに感謝している。


「まあこう言ったらなんだけど。二人が楽しそうだし、無茶苦茶なことになったから火事にならなくて済んだんだろうね……」


「マッチ一本火事の元だからな……」


「消火器は常備してなさい」


 希華さんと私以外は、火炙りにされている。

 希華さんは火が出ない配信や発言が多いのでどうにかなっているけど、私の場合、小さな火が出た瞬間その部屋を窒素で満たすのでどうにかなっている。

 ちなみにDustarさんに関しては止めることができないまま森林火災になった。


「このままじゃ独身のまま人生終わる……」


「一期生は……散々ですもんね」


「うっさいなぁ」


 希華さんは自分よりゲーム強い相手とか趣味合う人とか言っているけど、自分よりゲーム強いという何とも言えない高いハードルがあるから全く相手ができない。

 ツキさんはショタコンなので、普通にダメ。

 ルドさんはあの年であの小学生のようなmsgkムーブをするので、恋愛相手はいないのである。

 そして黒はプライベート事情や相手のタイプなどはまったく知らないけど相手はいない……らしい?

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 どこに住んでいて配信以外何をしているのか分からないし、sivea来る前になにをしていたいのかも分からないという噂を聞いた。

 ただどこからか現れて、色んな人の家にオフコラボしに行くので本当は家がないんじゃないのかとか言われている。

 多分あの会社でちゃんと知っているのは、私と社長ぐらいだろう。

 sivea一期生の悲しい現実は怖いなぁ。


「kqnr君は相手居るのか?」


「……黙っててもらえます?」


「あー腹立ってきた」


 そこからの試合はなぜだか分からないけど、希華さんとkqnrさんのエイムがキレッキレで相手を泣かしていた。






 目が覚めて時計を見てみると、8の数字を過ぎ去った短針が見えた。


「寝たのか……」


 あまり寝る前の記憶がない。

 ギリギリまで配信していたような気がするが、なぜここにいるのかがイマイチ思い出せない。


「もしかして愛理さんまだやってる?」


 スマホを開いて雪姫雪花のアイコンを見るとライブをまだしている状態になっていた。

 まだ完全に目が覚め切っていないが、自室へ戻りPCを付けて取り合えず配信はつけずに通話ルームに戻った。


「おはようございます」


「おはよ」


「……凛斗さん、寝かせてください」


「…………」


 全員反応が鈍っている。

 Dustarさんはまだいけるといった様子だが、多分今やめて寝ていいと言われたら寝るだろう。


「他のチームまだまだやる気みたいだね……」


「配信者怖いな……」


 長時間配信しているはずなのにあまりにも元気すぎる。

 健康という言葉は存在しないかのように配信をし続ける。

 俺はこの人達になることは一生ないだろうと、いや、ならないと心に誓った。

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