第24話、粗忽な幽霊7

「うわ旨そうやないかい!これ全部わいが食ってもええんか!!!」

「そんなこと一言も言ってねえよ!」

江戸日本橋にある恭一の店に付いてきた河童はよだれを垂らしながら

魚を見て愚問したが恭一に即否定された

この河童の名前は太郎丸というらしい

「あのな河童、おいらはおめえを助けたんだぜ、早くおいらを竜宮城まで連れていきな!」恭一の言葉を無視して商品の魚をガツガツと食べ始めた太郎丸

「てめえ!商品を勝手に食うんじゃねえよ!早くおいらを竜宮城に連れて行けっていってんだよ!」

恭一は太郎丸に殴りかかったが太郎丸にあっさりと相撲技のうっちゃりで床に叩きつけられた

「プロの背中に立つんじゃない!」太郎丸は言い捨てて魚を貪り始めた。

徳蔵は困った、どうやってこの河童を大人しくさせるか


「本当にここで間違いないっぺ?」

ここにやって来たのは幽霊三人組

権米はサチに聞いた

サチも不安そうだが確かに幽霊の感ではこの店で間違いない筈

「なんか騒がしいやん、変なモノが魚を食い散らしてるで!」

為やんは幽霊だけど太郎丸のような生き物は初めて見た

「なんでゴキ虫が魚を食ってるっぺ?」権米は例によって例のごとく一言多い

「誰がゴキ虫やねん!!!!」太郎丸はすかさず権米にツッコみを入れた

それでも食い意地が張ってる太郎丸は魚を貪り続けている

「あれはブサイクだが河童だよ、しかも陰陽師に橋の労働力で命を吹き込まれた

只の紙、いうなれば出来損ない」トコちゃんは幽霊三人組に説明した

「誰がブサイクやねん!誰が出来損ないやねん!!!!」

太郎丸はトコちゃんの方を見て突っ込んだ

それからびっくりした顔になり魚を食べる手を止めた

「太郎丸よ、おいらを覚えているようだな」

「当たり前やろうが!わいはお前のせいでえらい目にあったんやで!!」

「火神の御使いであるおいらが紙の河童もどきに礼儀を教えたのに

まだ口の利き方が分からんらしいな、今度は本当に燃えて紙屑になりたいんかい 笑」


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