第11話、小豆あらい

むかーし、むかしのことじゃ


恐ろしい化物が住んでおると噂される

人が入らない山奥でな

不思議な音が聞こえてくるんじゃ


しゃりしゃりしゃりしゃりしゃり

しゃりしゃりしゃりしゃりしゃり


村の者はな

気味が悪くてしかたがなかったのじゃ

それはな

あの山はいわく付きの山でな

今もむかしもな

口減らしの為にな

子供が連れていかれてはな

たくさん亡くなっている山なのじゃ


同じ山の川でな

河童の太郎丸が仰向きになり

呑気にプカプカと浮かんでな

つまらなそうにしてたんじゃ


「ああ、退屈じゃな、

なんかおもろいことないかな」


その横の荒れ果てた土地でな

男が鍬で土地を耕しておったのじゃ


「おらは平治、素朴な百姓じゃ」


太郎丸は舌打ちしながら話しかけた


「おーい平治よ、もうそれ飽きたわ、

他に芸はないのかの!」


平治はめんどくさそうに答えた


「おではこの役ばっかりじゃ、

文句があるなら作者に言え!」


しゃりしゃりしゃりしゃりしゃりしゃり


「だいたい平治よ

お前には教養が足らんわ

学校は行ったのか?」

「おでは立派に尋常小学校は卒業したど、河童如きに言われる筋合いはないわ!」


しゃり、しゃり、しゃり、しゃり、しゃり、しゃり、しゃり、しゃり、しゃり、


「平治よ、お前な、ワイは大卒じゃぞ!河童経済大学出ておるんじゃぞ、

小卒のお前には分からん世界やろうけどなw」

「河童の大学出てもキュウリしか作れんじゃろが!

この無芸大食のバカ河童め!」

「平治よ、お前はやっぱり常識が足らんな、ワイはお前のコンサルタントやぞ、いわば社長や、お前は平社員、口の利き方が悪かったらクビにするぞw」


しゃり、しゃり、しゃり、しゃり、しゃり、しゃり、しゃり、しゃり、しゃり、

しゃり、しゃり、しゃり、しゃり、、、


ドッ!カーン!!!!!!!!


「おまえら!さっきから無視しおって!横で儂が小豆を研いでおるのに気にならんのか?!儂は小豆あらいという妖怪ぞ!」


太郎丸と平治は顔を見合わせた


太郎丸は言いたいことを言う性分である


「小汚い爺様が小豆研いでるぐらいで、

だから何じゃというが?ww」


この河童め、言いたいこといいおって!

まあ、河童は同じ妖怪だからしかたないとしても、それにしてのあの人間め

「そこのガキ!儂が怖くないのか?!」

「おらはこうやって河童もどきとも会話してるでな、爺様が横で小豆を研いようとも何とも思わんな」

全く最近のガキは年寄りを敬う気持ちが足らんな、親の教育が悪いんやな

「もうええわ!」

小豆あらいは吐き捨てるように言ってから黙ってしまった


日も傾きかけた頃に草むらから

ざざざざ

音が聞こえてきた

そこに現れたのは人間の女性である

しかも美人が近づいてきた

太郎丸と平治はその女性にガン見となった


「お爺ちゃん、もう暗くなってくるよ

夕餉の支度も出来たからもう帰ろうよ」

「おお、もう帰ろうかの」

すかさず太郎丸は言った

「よし、ワイらも爺のとこで飯を食べに行こうかの」


は!????

小豆あらいは絶句した

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