第17話、小豆あらい7
「あ~退屈じゃ~~」
川にプカプカ浮かびながら太郎丸は呻いていた。
あれから殿様は年貢を軽くして
その結果、里人の暮らしは少しだが楽になった。化物が住むと恐れられた山には
小さいながらも祠が建てられ、そこには五体の地蔵菩薩様も建立された
攻めてくる他藩には、この藩には妖怪が居て迂闊に手出しをすれば危険な事も広められた。
漸くこの藩にも平和な日がやってきた
「あ~あ~あ~、退屈じゃな~~~」
太郎丸はまた呻いていた
平治はそれを聞きながら鼻くそをほじっていた
「全く、おめーはしょうがねえ河童だなや、解決したんだからええじゃろがよ」
平治の言葉に太郎丸はつまらなそうに応えた
「この件が解決してもワイの退屈は解決しとらん」
平治は太郎丸を無視して荒れた土地に鍬を入れ始めた。
「そんなに退屈なら儂の所で働いてみるか?立派な炭焼き職人に仕立ててやるぞ」
いつのまにか、あずき洗いが近くに来ていた「なんや爺さん、もう飯代はこれでチャラになったやろ、まだなんかワイに用事があるんか?」
「用事はないがよ、なんかお前らと関わってたら面白そうでの、」あずき洗いは
半笑いで話した
化物山と恐れられた山
そこは住んでる者しか分からない
桃源郷の世界
人も獣もモノノケも一緒に住んでいる世界、太郎丸のような河童も多く住んでいる、河童だけじゃなく牛鬼も濡れ女も住んでいる。まだ多くの妖怪も住んでいる
そしてサチや総次郎爺さんのように
元々は人間であって、生体が限界を越えて朽ちていく時にモノノケの意思と通じて同化した者もいる。
平和な山には山の恵みである食糧に
事欠かすこともなく
皆穏やかに生活している
妖怪あずき洗いとなったモノノケも
この山が平和であればそれ以上は
何も望んではいない
「また会えたらええな!」
あずき洗いの総次郎爺さんは
そう言いながら
幸せそうな顔をして去って行った。
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