第2話、スイカの意志
むかし、むかしのことじゃった
今ではエアコンがあるので
真夏でも快適に過ごせるが
昭和40年の時代は涼を取る為に
扇風機と団扇と水まきと風鈴等
風(熱風?)と地熱を冷やす事と音で
涼を取るなど色々工夫をしていた
さらに、もっと昔は井戸や川にスイカを冷やして
それを食べて体を冷やす方法が唯一の暑さ対策の時代もあったそうだ
もともとスイカは99%が水分で
残りはリコピンやカリウムぐらいしか入っていない瓜科の野菜
江戸のむかし
このスイカをめぐって争っていた二人の男がいた
スイカ売りが持っている商品はひとつだけ
それを、
これは俺によこせ
いや、これは儂が買うんじゃと
中年男と爺様が争っていた
スイカ売りの男としては年老いた爺様に売ってあげたいのが人情
しかも、もう一人の男は村でも評判の悪い強欲な男
スイカを冷やしたあと半分に切って
二人で半分ずつ持って帰ったらどうじゃろうと提案はしたが
中年男は了解しない
そこでまたスイカ売りは考えた
「ちょっと、このスイカを叩いて音を聞いてみな
実はな、このスイカはよ、まだ熟れてないんだよな
こちとらも商売だからね、申し訳ないね」
「なにそりゃほんとかよ」と中年男はスイカを叩いてみた
鈍い変な音がした
なんだこれは?
もう一度叩いてみる
今度は「バカバカバカ」と聞こえてきた
中年男はアタマにきた
こんな気分悪いスイカなんか買うか!といって帰っていった
今度は爺様がスイカを軽く叩いてみた
ポンポンと澄んだ綺麗な音がした
「さあ、爺様、このスイカは甘く熟れてて美味しくなってるよ」
爺様は代金を払い嬉しそうに持って帰った
長年、スイカを作ってきた百姓は
スイカと意志の疎通が出来る神業を持っていた
あの中年男にはお前さんを食べて欲しくないんで
叩いた時にバカを連発してやっておくれと念を送ったとさ
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