第7話、変なやつら
むかーし、むかしのことじゃった
おらは平治、素朴な百姓じゃ
昔はナスを作っておった
なぜ昔かというとな
今ではキュウリしか作っておらんからじゃ
しかもな
自分の意志でナスからキュウリに変えたわけじゃない。
なのでな、
平治は今でもおもしろくなかったのである。
「おーい、平治よ、遊ぼうぜ🎵」
「おらは仕事で忙しいのだ」
声をかけてきたのは河童の太郎丸
一応、妖怪であるがなんとも人間くさい
「妖怪は暇でええのう、食べる為に働かんでええからのー」
「ワイはお前のコンサルタントやで
ワイが渡したきゅうりの種が旨いから
お前んとこの商売も繁盛してるんやろ、
ワイに感謝せいよ」
当たってるけどなんか腹立つ
「なあ、太郎丸よ
おらもう、きゅうり飽きただよ
なんか違う野菜の種くれよ」
「ばーか、河童はの、野菜はきゅうりしか食わねんだよ、民俗学での設定でな、そうなってるだよ!?」
民俗学の設定か
平治と太郎丸は二人とも考えた
確かに毎日、毎日きゅうりばかり
食べてるのはおかしいの…
きゅうり以外で河童の好物は魚
だども畑で魚は取れないっぺな
ーーーーーー
平治は太郎丸に言い放った
「河童は水神様の子分じゃろ!
なんとかしろし!」
太郎丸は憮然として答えた
「子分ちゃうし、水神様の零落した姿の妖怪が河童ぞ、元々わいは神様やったんやぞ」
(本当は陰陽師の奴に橋の建設で労働力が必要やから式神として労働させる為に命を吹き込まれただけの紙やけど…)
「よし、この偉大な河童妖怪の太郎丸様に任せとけ!魚が水の中しか取れないのは窮屈でおろしろくない、畑で採れる魚を作ろうぜ!」
さあ、童話だからなんでもありなのか!
それがなんでもありなのだ
それが物語なのだ
「平治よ、見てみろ
畑に魚が生えてるぞ」
なんと
畑一面に魚の頭が土から出ておるのじゃ
太郎丸は平治に偉そうに命令した
「ほら、掘ってみろし!」
平治は太郎丸の口の聞き方にムカムカしながら取り敢えず掘ってみた
本当に魚が出てきた
その魚はピチピチ動かず生臭くもない
どっちかというと土臭い
食べてみた
味は「きゅうり」だった
魚の形をしたきゅうりだった
平治と太郎丸は考えた
「これ売れるかの?」
人間には売れんと思うけど
河童は欲しがるぞ
「河童は銭払わんぞ!」
意味ないわ
やっぱり、おらはきゅうりでええわ
むかーし、むかーし
こんなやり取りが
人間と河童であったそうな
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