第8話、ビールの神様
むかーし、むかしのことじゃ
仕事はな、よくするんじゃ
かかあもな、妻孝行して大切にするんじゃ
年老いた母親もな、親孝行して大切にするんじゃ
家庭をな、大切にしてるんじゃ
ぷしゅ、ごくごくごく、ぷぱー!
浮気も博打も散財もせず借金もせずにな
真面目に生きておる男なんじゃ
だがな
ぷしゅ、ごくごくごく、ぷぱー!
それでもな、人間なくて七癖
この男はな
ビールが大好きなのじゃ
夕餉の時だけ飲めばいいものを
この男はな
休日は朝からな
飲んでいるんじゃ
ぷしゅ、ごくごくごく、ぷぱー!
酒に強ければ問題ないんじゃよ
でもな、医者から飲むなと言われてるんじゃ
それでもな
ぷしゅ、ごくごくごく、ぷぱー!
毎日の酒量が多くてな
毎日脱水状態なんじゃよ
それでもな
この男なりに考えてな
翌日、車を運転する前日はすこーし飲む量を減らしておるのじゃ
医者からな
せめてノンアルコールのビールも試してみんかと提案されたが
男はな
そんなもんは飲まないと言い張って
云うことを聞かないんじゃ
ぷしゅ、ごくごくごく、ぷぱー!
ずずずずず
そんなある日な
家の中にな
大きなアタマをした着物姿の爺様がな
囲炉裏の前でお茶を飲んでいたんじゃ
「これ爺様、お前はどこの爺様じゃ?
なんで儂の家で勝手にお茶を飲んでるんじゃ」
「お前は儂が見えるのか?たいした人間じゃの」
この爺様は「ぬらりひょん」といって
妖怪の総大将だそうじゃ
「そっか爺様が、あのぬらりひょんか、お茶なんか飲まんとビール飲まんがとよ!」
「ビールとはなんぞや?」
「爺様、おめえビールも知らんのかよ
人生半分損してるぞ!」
「そんなに旨めのか?」
さっそく男とぬらりひょんは酒盛りを始めた
飲み始めて数分後にぬらりひゃんの様子がおかしくなってきた
ぬらりひゃんの大きなアタマがデコボコと動きだした
そしてアタマが破裂してもうたのじゃ
「これ、ぬらりひゃん、どうしたんじゃ」男は焦って近づいたが
その時にはぬらりひゃんが狸になっていてガーガーとイビキを立てながら寝ておった
しょがねえ爺様じゃな
ほれ、風邪引くといかんから
温かくして寝とけ
爺様に布団をかけてやり
男は一人で延々とビールを飲んでいた
そのうちに酔っぱらって寝てもうたのじゃ
朝方、狸はこっそりと男の家から出ていった
あの男
儂の妖怪姿に驚かず、しかも儂は酒飲んで負けたしもうたがな
ビールか、旨いけどけっこう体にくるの
でも優しい人間じゃったの
これからもビールを飲みに行かしてもらおうとするかの
狸は男の家に住み着いて
ビールを切らさないように
いつも酒屋から拝借して
常に男の家ではビールに困らないように
してやったとさ
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