第23話、粗忽な幽霊6

なにやら市場が喧しい、活気とは違う狂乱状態

ガサガサガサガサガサガサガサガサ

「てめえ待ちやがれ!このドロボー!」

ガサガサガサガサガサガサガサガサ

「なんだこれは!」

「なにこれ!気持ち悪い!」

あり得ない生き物が魚を抱えて河岸の若い衆に追いかけられていた

その生き物は人間ではない

猫でもない、知っている動物でもない

その姿は河童のような気もするが河童にしては変

恭一も徳蔵もその生き物を始めて見た

それが魚を抱えて逃げ回ってる姿は異様


「まるでゴキ虫みたいだね」と恭一は漏らした


「誰がゴキ虫やねん!!!」大きな声が恭一に飛んできた

その変な生き物は走り回りながら

目ざとく恭一の言葉を聞き逃さずツッコんだのであった


「おいおいなんだよ、ありゃ」恭一は苦笑いしながら

その追いかけっこをおもしろそうに見ていた

「若旦那、あれは変な姿をしてますが本物の河童ですよ」

徳蔵は恭一に言った

「河童?河童ってのはさ、身体中ヌルヌルしてて頭に皿があって手にはこう

なんて言うのかな!そうスッポンみたいな膜で繋がってねえのかい」

「誰がスッポンやねん!!!」また変な生き物が大声で恭一にツッコんできた

「ちょっと若旦那待ってください、スッポンが魚を抱えて二本足で逃げたりしませんよ、あれは河童ですよ」

「徳さん、あんなブサイクな河童がいるかい、おいらが知ってる河童はもっとスマートだぜ」

「誰がブサイクやねん!!!!!!!」また変な生き物は恭一にツッコんだ

恭一はおもしろくてしかたがない

恭一は若衆に話しかけた

「おいらがその魚を買うよ、だからさ、その変な生き物を許してやってはくれねえかい」河岸の若い衆は銭さえ払って貰えたら文句はない、恭一から銭を貰って皆帰って行った

その姿を見て安心したのか変な生き物は生のまま魚に齧りつきガツガツと食べ始めた、それを見ながら恭一は河童に話しかけた

「なあ河童よ、うちに来ねえかい、助けてやったんだからおいらを竜宮城に連れていってくれよ」横で聞いていた徳蔵は眩暈がしてきた



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