第25話、粗忽な幽霊8

「ちょっと!、まぁ!、待ちいな!

別にあんたと喧嘩したいわけちゃうがな…」

太郎丸は勝てる喧嘩しかしない主義である、なにしろ相手が悪い、あの鶏は只のニワトリやない、火を自在に操る神の御使いである

そんな相手に二度も喧嘩売るバカはいない

「ふん、まあ分かればよいわ!、このバカ河童もどきめ!」

(チキショーめ、鶏の癖に!)

太郎丸は心の中で捨て台詞を吐いて

店を去ろうとした


そのやり取りを見ていたサチは

すがる思いで聞いた


「もし、あなた様は私のことをご存知ではないでしょうか?」

サチは太郎丸に聞いた

太郎丸は元々記憶力が悪いが女好きなのでだいたいの女人は覚えている

しかしこの女人は記憶にない

しかも、この世のモノではない

太郎丸は無い知恵を絞って考えた

たけど思いだせない、でも美人である

しかし美人とは仲良くしたいので

嘘をついた

「知ってるで、あの世に帰っても相変わらずキレイやね!」

サチは嬉しくなった

ようやく自分のことを知ってるモノと出会えた、たとえそれが人間じゃなくて妖怪でも嬉しかった。

「サっちゃん良かったっぺな、相手はブサイクな河童でもおめえを知ってるモノが居て本当に良かったっぺ!」

権米はまた一言いらないことを言った

「誰がブサイクやねん!!!」

太郎丸は女は好きだが男は嫌いである

「指鉄砲!」

太郎丸の指先から水が出て

権米をびしょ濡れにした

店に居合わせた使用人達には幽霊は見えない、河童みたいな変な生き物が誰と話しているのかも見えないし指先から水を出してる姿は見世物小屋で見る水芸みたいである。それを見ていた人達は一斉に拍手をして称賛した。それに驚いたのは

太郎丸だがとてもいい気分になった。


使用人も徳蔵も幽霊が見えないので

太郎丸が何を相手にしてるのかさっぱり分からなかったが恭一には見えていた

幽霊三人組が、そしてサチには見覚えがあったがはっきりと思い出せない。




  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る