第33話
私はなんとも言えない嫌な予感に胸が締め付けられた。今秋ちゃんは鈴音の所に行ってる。このままにしてはおけない。鈴音は何をするのかわかったものじゃないのは昔から知ってるから。
さらに言えばあの家の人たちは鈴音の言いなりだ。だって有馬家の会社があれだけ大きくなったのは鈴音の助言からと言う噂もある。ただの高校生と見てたら足元をすくわれる。
だから多分今秋ちゃんは監禁に近いことになってる。私はすぐに小夏に連絡した。
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冬華(小夏ちゃん、今から公園に来てくれる?大事な話。秋くんがピンチ。)
小夏(っ!わかった!すぐに行く)
本当に単純でわかりやすい。秋くんと話、小夏と付き合うようにしたあと久しぶりに私に声をかけてきた。まるで私はもう敵ではないですよと言わんばかりの態度に殺意を抱いたがこれも秋くんと一緒になるためだから。
しばらくしたら小夏がきて
「秋がピンチってどういうこと!」
よっぽど不安なんだろ。私は小夏の姉として優しく落ち着かせた後私の考えを話した。
「さっき秋ちゃんから連絡があって今日は鈴音ちゃんの家に行くからご飯はいらないって入ってたの。」
「ん?それがおかしいの?あの二人ってつきあってるんじゃないの?」
よしよし。ちゃんとふたりともうまい具合に騙されてる。吐き気がするが今は我慢だ。
「鈴音ちゃんね、多分今秋ちゃんを監禁してると思うの。」
私の言葉がよく理解できていない様子の小夏に
「さっきから秋ちゃんに連絡してるけど電波が届かない所にあるみたいで繋がらないし、鈴音ちゃんにも繋がらない。何かあったんじゃないかと思って有馬家に連絡したらそこも繋がらなかったの。おかしいとおもわない?」
するとようやく理解したのか物凄い形相で鈴音の家に行こうとする小夏をとめた。
「ちょっと!冬華ねぇ!離してよ。このままじゃ秋が」私は小夏の言葉を遮り
「今行ってもしらを切られるだけで解決しないよ?だからね、いっその事有馬家そのものを潰さない?あの人たちがしてるのは犯罪だから。だから小夏ちゃんにも協力してほしいの。せっかく秋ちゃんと付き合えたのに邪魔者がいたら嫌でしょ?」
「えっ?私と秋が付き合ってるの知ってたの?」
「それは知ってるよ〜だって私は二人の姉なんだもん。バレバレ。でも安心して私はもう吹っ切れたしこれからは姉として二人を応援するからね?」
自分で言ってて吐きそうだし何ならバレないように唇を噛んだ。でも私の魂のお芝居で小夏はボロボロと泣きながら「ありがと、ありがと」 と言って私に抱きついてきた。
虫唾が走ったがまずは鈴音だから私は優しく小夏を抱きしめてから今後の計画を話した。
絶対に誰にも秋ちゃんは渡さない。邪魔するなら殺してでも私のものにする。だから待っててね秋ちゃん。
私は小夏にバレないように口元を上げた。
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