第7話
私の目の前にはぐっすり眠っている秋。
呑気に寝ちゃってほんとにムカつく。私は冬華ちゃんと兄妹になってからずっと言いようのないイライラが募っていた。
理由はなんとなくわかってたけど今日ので確信だ。私は私だけの秋を取られるのが嫌だった。まえの家庭ではお父さんは相変わらず海外だったしお母さんは夜に出かけることが多く、
秋と二人でいることが多かった。寂しいときも秋がそばにいてくれた。ずっとそばにいてくれるものだと思った。お母さんが浮気をし離婚したあとより二人でいる時間が増えて私は嬉しかった。
でも小学校に上がると同時に秋がモテるようになった。最初は私も鼻が高かった。でも徐々に嫌になっていった。みんな秋にデレデレして秋は私のなのに。
そんな積み重なったイライラが父親の再婚で新しく家族になる人をみて爆発した。凄い綺麗な一つ上の女の子。秋は相変わらずあんまり変わんなかったけどあの子はちょっと危険だ。その時直感で思った。そしてあたった。
しばらくはぎごちなかったが新しいお母さん春さんや新しい姉の冬華ちゃんが凄くいい人で私も秋も馴染んでいった。その頃には多分、冬華ちゃんは秋の事を好きになってたとおもう。異性として。わかるよ、だって私と同じ目をしてたから
それから私はこのイライラを秋にぶつけてしまった。学校で最初に無視をした。苦しかったがこれも秋のせいだと幼い私はとにかく理不尽だった。
中学に入り、より冬華ちゃんと秋は仲良くなり、それが嫌で嫌でどうしたらいいのかわからずにいたら、ある日雨でもないのにびしょ濡れで帰ってきた秋。理由を聞いても答えてくれない。その後冬華ちゃんには教えていたみたい。
それがムカついた。なんで私は秋の双子なのに。一番近くで一番知ってるのは私なのに。その後も秋へのいじめはエスカレートしていった。理由は秋の事が好きな娘がいて告白したが秋が断り、プライドの高かったその子はその子が好きだった男の子に秋をいじめるように指示した。
秋は中学のときもモテてたから男子からもあまりよく思われてなかった。だから男子も歯止めが聞かなくなっていた。徐々にやつれていく秋。髪も切らずに伸ばしっぱなしで外に出ることも減った。
冬華ちゃんもなんとかしようと秋の話を聞こうとしたり学校に相談したり色々としていた。素直に凄いと思うと同時に嫌だった。その場所は本来私の場所なのに。
このときには兄妹では恋愛も結婚もできない事は知っていた。それでも秋の事を諦めるなんてできなかった。私もモテる。でも秋以上の人なんて居なかった。その後中学を卒業。その頃には秋は前とは別人だった。引きこもりがちになり冬華ちゃんとも前ほど話さないようになりお母さんも心配していた。
でも私は凄く嫌なやつだ。こんなに秋が苦しんでいるのに冬華ちゃんと離れたから凄く嬉しかった。ここ何年かあったイライラが解消される。
ま、その解消も一瞬だった。高校生になり献身的は冬華ちゃんのおかげで高校でも相変わらずボサボサだが冬華ちゃんと学校でも家でもよく話すようになった。お母さんも喜んでいた。
お母さんも相当悩んでいた。これをお父さんに相談したほうがいいのか、いや、ここは私達だけでという気持ちが強くお母さんもよくしていた。
あーもう秋の隣は私じゃないんだ。
そう思ったら私の中で黒い何かが強く私を支配した。もう一度秋をみんなから剥がさなぎゃ。
高校で私は私に好意を寄せている人たちを使って秋をいじめた。それはもう徹底的に。クラスのみんなを使って。最悪だ。でも気分は晴れた。
しばらくして秋が不登校になった。そして冬華ちゃんもお母さんも頑張ったがだめだった。後は秋には私しかいないんだと秋に植えつければ私達は幸せになれる。そう思ったのに秋は記憶喪失になった。理由はストレスによるものらしい。
この時私は唯一の強みを無くした。そこからの秋はまるで人が変わったかのように見た目も中身も変わろうとした。そして冬華ちゃんも一歩踏み出した。まずいまずい。
秋は冬華ちゃんの事を異性として見るだろう。そして秋はストレスの原因が私だって気づいてる。嫌われる。それは嫌だ。私は自分の今までの事を棚に上げてそんなことを思う。
そして冬華ちゃんの告白。しかもキスまで!
許せない!なら私は
私は寝てる秋の前で着ている服を全部脱いだ。
秋のために身体も磨いた。スタイルも冬華ちゃんに負けないくらいにはなった。男子の視線には吐き気がするがそれも全部秋のためだと思うと我慢できた。
秋のために大事にしていたわたしの処女をいまからあなたに挙げる。
絶対に誰にも秋は渡さない!絶対に秋には私と同じ苦しみを知ってもらいたい。手にしたいのにできないこの気持ちを。
朝、僕は目を覚ますとなんとも言えない倦怠感に襲われる。身体がだるい。伸びをして体を布団からだそうとして違和感を感じた。僕は服を着てなかったから。そして隣には
「……おはよっ!秋。昨日は気持ちよかったね。やっと一つになれた。秋」
と顔を赤らめた小夏が僕と同じく一糸まとわぬ姿で隣に寝ていた。頭が真っ白になった。
「………なんで?」
絞り出して出た言葉に小夏は笑顔で
「だって私、秋の事好きだから。誰よりも。だから私の処女あげちゃった。痛かったんだからね!だからちゃんと責任とってよね?秋」
何を言ってるのかわからなかった。いや、理解をしたくなかった。僕は昨日冬華さんに告白をされてキスもした。そしてこれからは冬華さんのことを真剣に考えようとした。なのに僕は小夏さんとセックスをした。僕は最低だ。
実の兄妹とシて何より冬華さんを裏切った行為だ。と僕の考えが小夏に伝わったのか
「大丈夫だよ?冬華ちゃんには黙ってあげる。だけじゃなくて冬華ちゃんを好きになって付き合ってもいいよ?」
なにをいってるんだ?さらに小夏が
「私は血が繋がってるからもともとだめなの。でも冬華ちゃんなら大丈夫でしょ?」
と悲しそうに言う小夏に僕は強く言えなかった。
「でもその代わり私とも付き合って。もちろん秘密でね?」
「そ、そんなのいい訳がないだろ!僕は」
そこで僕の言葉を口で塞がれた。しばらくしてから
「もし付き合ってくれなきゃこの事を家族や冬華ちゃんに言っちゃうから!それと冬華ちゃんともこれまで通りに接してくれないとね。もしバレてもこの事バラすから!安心して!私と付き合ってくれたら約束は守るから。」
といって冬華ちゃん来ちゃうとまずいから行くね?と言って服をきて出る。出る直前に
「あと、一日一回私とセックスする事!これが付き合ってる意味を持つから。私達今まで疎遠だったからいきなり仲良くなるのは不自然でしょ?でも私も秋と恋人らしいことがしたい。だからセックス。これを破ってもバラすから」
じゃあねと言って出ていった。
「なんでこんな事になっちゃったんだ。」
とこれから始まる新しい高校生活が崩れた音がした。
その後、ノックがした。あっ、
「お、おはよ。秋ちゃん。入っていいかな?」
僕は罪悪感に押しつぶされそうになりながらもバレてはいけないとおもいながら返事をした。
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