第13話

僕が準備をして部屋を出ると部屋の前に二人が立っていた。


「は、はやいね、二人とも。じゃあ行こうか」


そう声をかけると二人して一歩近づき息が当たる距離になったあとそれぞれ


「秋!絶対に鈴音に絆されちゃだめだからね!絶対に!」


と小夏が言うとすぐに冬華さんが


「秋ちゃん!秋ちゃんは私だけを見てたらいいからね!ひ、百歩譲って小夏ちゃんを見るのはいいけど鈴音ちゃんは絶対だめだからね!秋ちゃんのためにも!」


と冬華さん。一体鈴音さんとは何者なのか普段穏やかな冬華さんがこんなにもそれに普段何かと余裕な小夏もどこか落ち着きのない様子だ。


一体、鈴音さんとは?


僕はいつもと違う二人をみて新鮮な気持ちになり俄然どんな人か見てみたくなった。


「わ、わかりました。わかったから二人とも?ちょっと近いよ?これだと……」


まるでキスする前みたいだといいそうになるがやめたが二人とも僕の考えてる事を読んだのか二人して少しニヤッとし、その後


「…んちゅっ!朝のチューね!」

と小夏がキスをしてきてそれに負けじと冬華さんが


「……んちゅっ はむっ、ちゅっちゅっ んん〜」

と小夏よりも長くより深くキスをした


小夏はあー!長すぎよ!冬華ちゃん!と言って二人でなんか始まりそうだったから僕は


「ストップ!いまのは一旦おいとこ、それより早く学校に向かお?それに鈴音さんも待たせるのは悪いし、ね?」


僕が言うと二人はとりあえず落ち着いた。あー良かった。と思っていたら家のチャイムがなり僕らは玄関まで行きドアを開けた瞬間、


「しゅーーーくーーーーーん!!会いたかったよーーーー!!」


いきなり抱きついてきた、髪の色が淡いピンク色のボブヘアにお人形さんみたいな顔立ち、小夏や冬華さんほどではないが十分柔らかいものが僕の体にあたってる。な、なんだこのかわいい子は?


「え、え、あのーどちらさまで?」


すると一瞬落ち込んだように見えたがすぐにまたあの人受けする笑顔で


「わたしはね!有馬 鈴音。秋くんの幼馴染でそんでもって許嫁だよ!ちゅっ」


爆弾に爆弾。いきなりの許嫁発言プラス唇にキス。なんだこの子は。すると後ろからものすごいプレッシャーを感じて振り向けなかった。


すると唇を離した鈴音さんが


「わたし、小学校までは秋くんと同じだったんだけど中学は引っ越して別だったしこっちに帰って来たのも最近でね、だから今日が高校の初日なの!また秋くんと一緒に学校行けるの楽しみだったの!」


なるほどじゃあ僕が引きこもりになっていたことや記憶喪失になっていたことも知らなかったのか


「それでね、こないだお母さんが秋くんママとお話してそこで秋くんか記憶喪失だって聞いていても立ってもいられなくて今日きたの!」


凄く心配してくれてるみたいで悪い子ではないと思う。むしろ


「だからね、今まで会えなかった分と記憶を無くした私との時間を取り戻す方法を私考えたの!」


なんだろ?凄く自信満々だし僕も今更記憶を戻したくはないがこの子はなんだか仲良くなりたいと思う。そんな事を考えていると


「私と秋くんは明日からお父さんが用意してくれたマンションで同棲をします!もう私の親の了承は得たよ。後は秋くんママにお願いするだけ。ね?いい考えでしょ?」


あーなるほど。小夏と冬華さんが危険視する理由の一端を見た気がする。しかも同棲?そんなの高校生の僕らがしても大丈夫なのか?しかもすでに鈴音さんの家族はオッケーした?あと何?お父さんが用意したマンション?なんかもう全部すごいな


すると騒ぎを嗅ぎつけたお母さんが玄関にやってきたので鈴音さんが


「秋くんママ!私と秋くんの同棲の許可をお願いします!」


するとお母さんは迷うことなく


「うん!いいわよ!」


「「「はぁっ???」」」


僕、小夏、冬華の3人はあっさりしすぎてる返答に自然と大きな声で叫んでた。


鈴音さんはやった!と小さくガッツポーズを取ってから


「じゃあ今日の夜からね!帰りも一緒に帰ろうね!二人の愛の巣に、ね?あ・な・た」


「よーし!じゃあ学校いこ!」


と言って当たり前のように僕の腕を掴んで僕をつれて家を出た。小夏と冬華さんは放心状態でいたが僕たちが出たのを見てから慌ててものすごい顔で僕らを追った。


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