第5話
お風呂に入り今日一日の疲れを泡と一緒に流しかなり広めの湯船に使った。今思ったがこの家かなり大きい。だいぶお金持ちの家なのかもしれない。その辺も含めて夕食の時に聞こう。
そして今リビングの長机に家族5人が座って会話なく夕食を食べている。なので僕は聞くことにした。
「あの、そろそろみなさんの名前とあと関係性なんかを教えていただきたいのですがよろしいでしょうか?」
するとお母さんがそうね。と言った様子で話し始めた。
「えっと改めて私はあなたの母親で名前は相葉 春といいます。これからよろしくね。」と言ってくれた。すると隣の人が
「俺はお前の父親の秋人(あきと)だ。普段は海外を拠点にしているから年に一、二回ほどしか会えないがこれからもよろしく頼むな。ちなみに仕事はミュージシャンをしている。また明日から海外にいくから最後にお前と話せて良かった。」
と父親の意外な職業に驚きつついい親だと思った。すると目の前に座る昨日泣いていた女性が
「昨日は急に泣いちゃってごめんなさい。改めて私はあなたの姉、冬華(とうか)です。秋ちゃんの一つ上の高校2年生で今は生徒会長をしてるの。よろしくね」
と綺麗な顔で可愛らしい笑顔で言ってくれた姉。きっと凄くモテるんだろうな〜と感心していると
「ほら、あなたも自己紹介して」と母の催促でしぶしぶといった感じで
「私はあんたの双子の妹で小夏(こなつ)」
と一応挨拶をしてもらったことで名前と関係性がわかった。しかし僕は双子だったのか。あまり似てないからわからなかった。
ここでもう一つだけ確認したいことがあったので僕は聞いてみることに
「最後にもう一つだけ聞きたいのですが、僕は何故あんな見た目でいたのかそれと部屋を見る限り僕はあの部屋にずっと閉じこもっていたとおもうのですがだからあの日父以外みな驚いていたのでしょ?」
これだ。一番聞きたかったことは。父は海外生活が長く帰ってきたのも昨日の夜だから知らないのも当然だ。すると一気に黙り込み、しばらくしてから申し訳なさそうに母が
「秋はね、学校で嫌な事があったみたいで高校入ってからすぐに部屋に引きこもってたの。何度も話を聞こうとしたけどだめであれから学校にも行ってないしだから今日の朝久しぶりにみてびっくりしたの。」
なるほど僕は不登校で引きこもるだったのか。だからあの部屋か。と一人納得してたら
「でも私とは話してくれたの!頼りになるのはお姉ちゃんだけだって。だから私は学校でなにがあったのかどうすれば解決できるのか色々と頑張ったんだけどごめんね!力不足で。根本的に秋ちゃんの傷を癒やすことはできなくて」
と涙を流しながら謝ってくれた姉。だから今日の朝泣きながら問いかけてきたのか。申し訳なくなり今は姉に泣き止んでほしくて自然と姉の頭を優しく撫でていた。
するとすぐに笑顔になり微笑んでくれた。あ〜この人はなにがあっても守ってやりたいと思わせる人なんだ。僕も自然と笑顔になる。若干姉の顔が赤くなっているのは気のせいだろう。
しかし待て。僕がいじめか何かにあったとしたら双子の妹は学年が一緒で聞くとクラスも一緒だという。なら僕の状況を一番詳しいはず。
「あの、小夏さん?あなたは僕と同じクラスなら何か知ってるんですよね?」
と聞くとバツの悪そうな顔になり下を向くだけで答えは聞けなかった。ま、この反応で大体察せた。要は小夏は見てみぬフリをしたもしくは双子なのにあんなボサボサな感じが気に食わず自らいじめをしたかだな。どっちにしろ小夏は好きにはなれない。双子なのに残念だ。
あっ、と言い忘れたように父が今日一大事なことをいった。
「あ、言い忘れたが俺とお母さんは再婚でな、俺の子供で小夏と秋、お母さんの子供で冬華、小夏と秋が10歳の時に再婚したんだ。お母さんと冬華は血のつながりはないけど家族には変わりないからこれからも頼む。たまたま名前が季節なのは偶然だ。」
それ、普通言い忘れる?でもそれだけ家族としての時間をともにしているということか。
「改めてこれからご迷惑をおかけするかもしれませんが家族に馴染めるように頑張りますのでよろしくお願いします。」
精一杯の笑顔で家族に向けた。
その後は家族で久しぶりに今までの事を色々と聞かせてくれた。その間小夏は下を向いて会話には参加せずすぐに部屋に戻ってしまった。
僕も使った皿を洗い、部屋に戻る時に冬華さんに
「秋ちゃん、今日一緒に寝てもいいかな?」
と爆弾発言。でもそんな上目遣いで見られては断れない。
「は、はい。わかりました。」
なぜか鼓動が早くなってる気がしたが何なんだろう。
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