第25話
僕は精一杯の気持ちを冬華さんにぶつけてそれを冬華さんが受け止めてくれた。僕たちはしばらく強く強くどこにも渡さないよう抱きしめた。
嬉しい。記憶喪失になってから初めてこんなに満たされて心が軽くなった。でも心の片隅にある小夏と鈴音のこと。これを解決しないと僕は本当の意味で冬華さんと幸せになれない。だから
「冬華さん、僕は明日小夏と鈴音にちゃんと真剣に話をしたいとおもいます。」
すると冬華さんは
「秋ちゃんはそれでいいの?大好きな冬華さんを苦しめていた元凶を話し合いで終わらせるの?」
どういうことだろう?いや、意味はわかるが理解が追いつかない。つまりどうしたらいいんだ?
「私は秋ちゃんをキズモノにしたあの二人は許せない。だからそれ相応の報いを受けされるべきだと思うの。」
「確かに二人は強引にしてきましたが僕もその後は受け入れてしまったので。冬華さんを傷つけたのは僕も同じなので二人だけに報いを受けさせて僕だけ幸せにはなれないです。」
すると冬華さんは僕を抱きしめ優しく頭を撫でてから
「大丈夫。秋ちゃんはもう報いを受けてる。これまでずっと苦しんでた。これはもう報いでしょ?でもあの二人はだめ。ふたりがやったことは犯罪まがいなことなんだから。」
犯罪?どういうことだろう?
「それはどういうことですか?冬華さん」
僕が聞くと冬華さんは
「まずは小夏だけどねいくら兄妹だからといって寝込みを襲ってそれをネタに脅すのは犯罪なの。鈴音も一緒ね。あの子は多分薬を秋ちゃんに盛ったんだと思う。媚薬とかね。あの子はやりそうだもの。それで秋ちゃんの理性を溶かして犯させた。それでそれをネタに。って感じかな」
もしそれが本当なら確かに報いを受けるべきなのかもしれないと僕は冬華さんに抱きしめられながら冬華さんの言葉を聞いていた。
「だから大丈夫。秋ちゃんは悪くない。悪いのは全部あの二人なの!あの二人さえいなくなれば私達は幸せになれるの!」
あーそうか。僕は悪くない。だってもともと僕は無理やりにセックスをさせられそれをネタに何度も何度も。僕は悪くない。悪いのは全部あの二人だ。そもそもあの日小夏が僕の寝込みを襲わなかったら僕はもっと早く冬華さんと結ばれていたんだ。小夏のせいで!
鈴音にしたってそうだ。本当に僕のことが好きなら無理やり僕に犯させようと薬を盛ったりしないはずだ。あっ!そうか。二人は僕と冬華さんの邪魔して楽しんでたんだ。僕を苦しめて冬華さんを苦しめて。許せない。
「わかったよ。冬華さん。話し合いなんてだめだね。間違ってたよ」
すると冬華さんは笑顔で
「うんうん。そうだよー。だからね二人で幸せになるためにあの二人を消しちゃお?」
そうだ。僕たちの幸せには二人は邪魔でしかない。なら消さなきゃ。
「うん。僕らの幸せのために消そう。そしたらずっと一緒にいられるからね」
僕が言うと嬉しそうに顔を僕の胸に押し当てて上目遣いで
「うん。ずっと一緒。もう離さない。」
可愛いことを言ってくれる可愛い彼女の頭を撫でたら気持ち良さそうに目を細めて頬を僕の胸にこすりつける。この幸せのために邪魔するやつはひとり残らず消さなきゃ。
しばらく抱き合いながら幸せを噛み締めていたが冬華さんが
「………ねぇ?秋ちゃん。私ともセックスしてほしいの。お願い」
「もちろんだよ。早くこの穢れた身体を冬華さんの身体で綺麗に上書きしたいしね。それに………もう我慢もできないしね。」
僕が言うと冬華さんが僕の下半身をみて少し笑ったあと
「私、初めてだから優しくしてね?」
僕はもちろんと頷いてから優しく愛を確かめ合うように深く深く愛し合った。
朝目が覚めて横を見ると可愛い寝顔の冬華さん。昨日は幸せだった。いままでのとは何もかも違う。僕は優しく彼女の髪を撫でていると
「……んんっ〜〜」
どうやら起こしてしまったようだ。目を少しずつ開いて僕と目があったので
「おはよう、冬華さん。」
僕が言うと冬華さんも笑顔で
「おはよー秋ちゃん」といって僕に抱きついてきた。もちろん裸でだ。冬華さんの豊満な身体に抱きしめられると朝ということもあり、また下半身が大きく反応してしまった。
冬華さんは一瞬驚いていたがすぐにふふっと小さく笑ったあと僕たちは昨日あれだけしたのに、お昼前まで愛し合った。家には小夏もお母さんもいるので声はできるだけ小さくした。
行為が終わったあと、僕たちは余韻を楽しみ抱き合った。
しばらく抱き合ったあと冬華さんが
「秋ちゃん。愛してる。だからずっと私を離さないでね?」
といってキスをした。
「僕も愛してる。絶対に離さない。」
と僕からもキスをした。
ようやく二人は結ばれて一つになった。がこれでハッピーエンドじゃない。冬華にとっても秋にとっても。本当のハッピーエンドはすべてを消したあとだ。
僕はもう冬華によって…………堕ちていた。
1部 完
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