第23話

あれから一週間がたった。

僕はこの一週間、学校で小夏を抱き、学校からマンションに帰ったあとは鈴音を抱くを繰り返していた。


その頃には僕はもう冬華さんへの罪悪感とか二人に対して不誠実などは思わなくてなっていた。僕が最低のクソ野郎には間違いない。でももうどうでもいい。一週間がたち、鈴音との同棲は解消されたが鈴音から


「これからもよろしくね♡」


これの意味を理解し僕は久しぶりに我が家に帰った。真っ先に出迎えてくれた冬華さん。嬉しいが僕の中に渦巻く真っ黒い何かが邪魔して素直に喜べない。あーもうだめだ。今日言おう。冬華さんには幸せになってほしい。


僕と一緒にいたら冬華さんもだめになってしまう。だから


「……冬華さん。今日夜、僕の部屋に来てくれませんか?お待たせしてすいません。あの夜の返事がしたいので」


僕がそう言うと冬華さんは小さく、わかった。といい僕と一緒にリビングに向かった。これでいい。そうしたら僕は二人に対して約束を守る意味がなくなるから。はぁ〜最低だな、僕は。あんだけ抱いておいて。ははは、なんでもいいや。


その後、よるご飯を食べ、お風呂に入り自分の部屋で冬華さんが来るのを待っていた。しばらくしてからノックがしたので、はい。どうぞ。といって入ってもらう。


「秋ちゃん。大丈夫?今日は帰ってきてからずっと気分が悪そうだったから」


こんなときでも僕の心配をしてくれる人に僕はずっとずっと騙してたんだ。でももう終わる。


「大丈夫です。ありがとうございます。それとあの夜告白してくれてありがとうございます。凄く嬉しかったです。」


心から思ったことを口にする。これはせめてもの僕の務めだ。


「冬華さんには記憶がなくなってから凄く良くしてもらって冬華さんがいてくれたから僕は不安をなくせました。それもありがとうございます。」


冬華さんは僕の話を静かに聞いてくれる。


「あの夜から冬華さんの事をいっぱい考えました。冬華さんは身内贔屓無しに綺麗でそれでいて可愛らしい所もあって面倒見もいいしご飯も凄く美味しかったです。僕にはもったいないです。」


今も静かに僕の話を聞いてくれる。そんな所も


「僕はそんな素敵な冬華さんに好きになってもらえる人ではありません。なのであの夜のお返事は、すいません。僕は冬華さんとは付き合えません。これが今まで僕が考えて出した答えです。遅くなってしまい申し訳ありませんでした。」


言った。僕のこの気持ちは終わった。でもこれでいい。するとずっと静かに聞いてくれていた冬華さんが口を開いた。


「……………それは、本心なの?」


そんな事を聞いてくる冬華さん。僕は悟られないように


「………はい、これが僕の本心です。」


「じゃあ、なんで泣いてるの?秋ちゃん。」


最初冬華さんが何を言ってるのかわからなかったが気がつくと僕は目から涙を流していた。なんで。やめてくれ。


「こ、これは、め、目にゴミが入っ」


僕がそう言い切る前に冬華さんが僕を抱きしめた。僕はだめなのに、だめなのに拒めなかった。すると冬華さんが


「もう隠さなくていいよ?私知ってるから。」


「秋ちゃんが小夏ちゃんとセックスしてるの知ってる。あとは多分鈴音ちゃんとも」


言葉がでない。知ってた?僕はただ呆然としていた。


「それが小夏ちゃんと鈴音ちゃんが強引にしたのもわかってる。大丈夫だよ?秋ちゃん。わたしはわかってるから」


だめだ。いくら最初が強引だったとしてもバラされないためにしたとしても僕もそれを受け入れた時点で同じだ。


「私だけはわかってるから。大丈夫だよ。」


やめてくれ。そんな優しい言葉をこんなクソ野郎にかけないでくれ!


「だからもう一度聞かせてほしい。次は本心から秋ちゃんの気持ちが聞きたい」


だめだだめだ。流されてはいけない。


「や、やめてください。さっきのが僕の本心なんです。だからもう僕には」


また僕の話の途中で冬華さんに遮られた。今度は唇で。いつ以来だろう?冬華さんとキスをするのは。あーやっぱりそうだ。小夏や鈴音とするキスとは全然違う。凄く満たされる。もうだめだ。僕はどうしようもなく冬華さんが好きなんだ。ずっと考えてでもそれをしまって。


「んっ、はぁ、ちゅっんっはぁはぁ」


溶かされる。僕のしたことが許されていくみたいに。………だめだ。もう我慢が


「んっ、ちゅっ。はぁはぁ、冬華さん。」


「好き、大好きよ!秋ちゃん!んっちゅっくちゅっ」


僕は冬華さんが好きだ。大好きだ。多分記憶喪失になる前から好きだったんだろう。そんな気がする。だから記憶喪失になったあと冬華さんに告白されたときただ綺麗なひとに告白されて嬉しかったのもあるがそれ以上に内からくる喜びがあった。


深く長いキスのせいで僕の中の冬華さんへの気持ちを抑えることができなくなっていた。


だからだろう。絶対に言うわけにはいかなかった。その言葉が自然と口からでていた。








「…………………冬華さん、好きです」

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