第20話

僕は今、鈴音さんと一緒にこれから一週間同棲するマンションの前にきている。これが高層マンションか。鈴音さんのお父さんは富豪かなにかなのかもしれない。


「秋くん!早くいこ!」


僕が高層マンションを前に呆然としていたら鈴音さんがそう言って僕の手を引いて中に入っていく。改めて考えると一週間とはいえこんな美少女とひとつ屋根の下で二人きりで過ごすのに少し緊張してしまう。


普段から美少女とはひとつ屋根の下で暮らしているが記憶はないが家族であるためそこまで普通にしてたら緊張はしない。


僕は若干緊張しながらも鈴音さんの後に続けて部屋に入る。中に入ると二人で暮らすには広すぎる。なんか落ち着かないな。


「秋くんはくつろいでてー私はよるご飯の準備するからー」


と鈴音さんがいったので僕も何か手伝おうとしたが、鈴音さんが大丈夫と言ってくれたのでお言葉に甘えた。若干食い気味で大丈夫と言われたのでびっくりした。


僕は料理ができるまでリビングにある高級感のあるソファに腰掛けた。テレビをつけながら僕は記憶喪失になってからの事を考えてた。


(僕はどんどんだめな方に行ってる気がしてる。あの日冬華さんに告白され、冬華さんの事をちゃんと考えて答えをだそうとした次の日に僕は覚えがないが小夏と肉体関係になりそこからズルズルと関係を続けている)


(最近では鈴音さんからも好意を寄せられ、さらに僕もびっくりだが肉体関係に無理やりなったはずなのに今では小夏を受け入れつつある。結局僕はどうしたいんだ。このままでは誰も幸せになれない。)


僕は頭の中で今までの事これからの事を考えていると鈴音さんが後ろから腕を僕の首に絡ませて顔を近づけ


「ご飯できたよ。一緒にたべよ!」


僕はわかったといい、一緒にテーブルに腰掛けた。


テーブルの上にはまるでレストランに出てくるような料理の数々。凄く美味しそうだ。


「「いただきます」」


二人で手を合わせてから僕は目の前にあるハンバーグを一口に切り口に運んだ。


「うわ!めちゃくちゃおいしい!このハンバーグ凄くおいしいよ!」


多分これまで食べてきたハンバーグの中で一番おいしい。僕は箸が止まらず次々と口に運んでいく。鈴音さんはその様子をみてとても嬉しそうにしながら僕を見ていた。見られながら食べるの食べづらかったので


「…鈴音さんは食べないの?」


と聞くと


「うん、後で食べる。今は秋くんが美味しそうに食べてるのを見てたいの!」


そう言われてしまえば僕もこれ以上何も言わない。しばらくして食べ終えた僕はとても満足に浸っていると


「秋くん、先にお風呂入ってきていいよ。お風呂も湧いてると思うから!」


何から何まで至れり尽くせりで申し訳なかったが嬉しそうにお皿を洗っていたのでまたしてもお言葉に甘えた。


お風呂のお湯は何かの入浴剤が入っていてとてもいい匂いだった。頭が身体がほわほわして気分がいい。お風呂でくつろいだ後パジャマに着替えてリビングに戻ると鈴音さんが


「先に寝室に行っててね?私もお風呂入ってくるから」


と言われたので僕はまだ身体がほわほわしながらも頷いてから寝室に入った。寝室はアロマか何かの香りがしてとてもいい匂いがした。僕はベットに腰掛け鈴音さんが来るのを待っていた。


あれ?なんで僕は、あれ?ま、いいか。今は気分がいい。


しばらくしてから鈴音さんがやってきた。黒のレースのネグリジェでとてもエロかった。それにしてもさっきから鼓動が早くドキドキが止まらない。


すると僕の目の前で鈴音さんがネグリジェを脱ぎ裸になった。僕は普段なら顔を逸らすなり注意するなりするのだがこのときはなぜか目を逸らせず注意もできなかった。


すると鈴音さんが


「秋くん、お願い…………抱いて」


おかしい!おかしい!断らないとだめなのに拒めない。なんだこれ?僕は今ものすごく興奮している。鈴音さんの身体に欲情してる。断れない。


僕は立ち上がり鈴音さんの側により思い切り抱きしめていた。


「し、しゅうくん!?あっ、あん!きてっ!」


僕はそのまま鈴音さんをベットに押し倒しその柔らかな素肌に触れ、まるで理性が崩壊したかのように僕は欲望のままに鈴音さんの体を貪った。





いつの間にか朝になっていた。なぜか頭が痛い。昨日のことがほとんど思い出せない。ハンバーグをたべてお風呂に入ったまでは確かにある。それから僕はどうしてた?僕は考えながら布団を剥がすとそこには鈴音さんが。しかも裸で。頭がよく回らず理解ができずにいる僕に


「秋くん、おはよ!やっと………一つになれたね?これで私は秋くんのものだよ。これからもよろしくね?」


あのときと同じだ。小夏のときと同じ。僕はまた知らない間にやってしまったんだ。でもおかしい。僕はなんで鈴音さんを抱いた?理解ができない。いくら鈴音さんが美少女で魅力があるとしても僕は普段ならしなかったはずだ。何かがおかしい。……でも思い出せない。なんで。


僕が頭を抱えながら考えてる横で鈴音は静かに笑っていた。

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