第17話

僕は小夏に見蕩れて顔が緩んでいたのでそれを正してから教室に戻った。席につくと鈴音さんに


「随分ながかったね?もう用事は大丈夫なの?」


僕はうん。といってから一緒にお昼食べれなくてごめんね?と返したら


「うんう、全然大丈夫だよ!こっちから急に誘ったから今度からは事前にいうよ、お弁当も作ってあげたいし!」


と笑顔で言ってくれる鈴音さんを見て僕は数分前までの事を思い出して胸が痛んだ。僕が考え事をしているとあっ!と鈴音さんが何かを思い出したみたいで


「あっ!そういえばさっき冬華さんが秋くんの事探して教室にきてたよー?でもすぐ走っていっちゃったんだけどね。」


僕はその話を聞いて申し訳なさと罪悪感でいっぱいだった。どうしたのだろう?何か用事があったのかな?そんな事を考えてる一方でせっかく冬華さんが僕の教室まで来てきたのに僕はその間小夏とセックスをしていたと思うと言いようのない罪悪感でいっぱいだった。


「あ、あのさ!秋くん。さっきの用事って小夏と一緒だったの?」


僕が冬華さんの事を考えていると鈴音さんからそんな事を言われた。


「えっ?い、いや。違うよ?な、なんで?」


僕は動揺しまくりだった。まさか鈴音さんにそう言われると思わなくて、僕は今どんな顔をしてるのだろうか。とにかく僕は次の鈴音さんの言葉を待った。


「いやー秋くんが出る少し前に小夏出てたし小夏が戻ってきた少し後に秋くん帰ってきたからなんか合わせてたのかな〜って。それに冬華さんが二人がいない事を知って走っていったから。冬華さんがあんなになるのは秋くん絡みでしょ?だから気になって。」


と淡々という鈴音さんに僕は冷や汗が止まらなかった。そこまで見てたのか。僕が戻って来たときに少し話したけど気にしてない感じだったのに。それに冬華さんが走って僕らをさがしたのかな?なんだろ?この言いようのない嫌な予感は?

…………バレてないよね?


それよりも今は


「偶然じゃないかな?僕は先生に用事があってそれで出てただけだよ?小夏には一回もあってないし。」


とつとめて何もなかったを鈴音さんに言った。すると


「そうなんだー。うん!なんかごめんね?そっかそっか。うん。あっ!そうだ今日は一緒に帰りにスーパーによっていこ!私秋くんに手料理作りたいの。」


なんとか誤解はとけて良かった。また笑顔に戻り今日の予定を約束した。鈴音さんの手料理かーどんなんだろうかと思っていたが僕は本当にこれから鈴音さんと同棲するのか?と思い鈴音さんを見ると僕の言いたいことが伝わったのか


「いきなり過ぎて秋くんもいろいろと不安だろうからとりあえず今日から一週間だけでいいよ?その後は秋くんが決めてくれていいからね?」


と言ってくれたので一週間くらいならと僕は鈴音さんに、わかった。よろしくね?といって次の授業の、用意を始めた。


放課後になり僕は教科書をかばんに入れて帰る準備をしていると教室のドアが勢いよく開かれて見ると冬華さんがいて僕の方に駆け寄ってきた。


「秋ちゃん!一緒にかえろ!」


なんかいつもより元気にお誘いを受けた。何かあったのかな?とか思ってると横から


「ごめんね、冬華さん。これから秋くんは私と帰りによるご飯の買い出しにいく約束をしてるの。」


だから今日はごめんね?と続けようとした鈴音さんの言葉を冬華さんが


「それなら一緒にいこうよ!私も今日はお母さんに材料買ってきてって頼まれてたから。いいよね?秋ちゃん?」


そんなしおらしい表情で言われたら


「そういう事なら僕は全然いいですよ?鈴音さんも大丈夫かな?」


と聞くと一瞬嫌な顔をしたがすぐに笑顔に戻り、大丈夫だよ!と言ってくれた。冬華さんにはお昼無駄足をさせてしまったからここで断りにくかった。すると冬華さんが


「じゃあ、小夏ちゃんも一緒にいこうね?今日の材料多くなりそうだから人手がほしいの!久しぶりに四人で帰ろ!ね?」


小夏を誘った。僕も小夏もびっくりしたがすぐに小夏も


「…うん、わかった。このあとも用事ないし。」


と了承した。僕はなんで急に冬華さんが小夏まで誘ったのか?今までそんな事なかったのにと記憶喪失になってから僕は二人の事をみてたが仲はそんなに良くないことを知っているため違和感があった。それにこのテンション。どうしたんだろう?などと思ってると急に冬華さんが


「じゃあ秋ちゃん!かえろー」


と言って腕を組んできた。教室でだ。周りは驚いていたがそれよりも小夏と鈴音さんがより驚いていた。そんな事お構いなしに腕に胸をこれでもかと押し付けてくる。


「ち、ちょっと冬華さん?その近いですよ?」


というとさらに強く腕にくっつき


「……だめ?」


と上目遣いで言われたので僕はどうしてもここで嫌とはいえず了承した。その後はニコニコ顔で教室をあとにした。朝、校門では恥ずかしがってたのに本当にどうしたのだろう?と戸惑っている僕の後ろで小夏と鈴音は


「…小夏、あれなんなのよ!」


「…わたしが知るわけないじゃない!」


僕らが出たあとそんなやり取りのあとすぐに二人の後を追った。

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