第9話
モテ期がきた。
ホームルームが終わり授業までの約10分間の間にクラスの女子のほとんどからlineのIDと遊びのお誘いを受けてしまった。 女子の勢いの凄さたるや。
反比例するように男子からは嫉妬、妬み、その他いろいろな感情の視線を受けて僕はただ苦笑いしかできなかった。
そんな時に小夏の友達、以前ショッピングモールで出会った二人が
「あー!やっぱり前にモールであった人だよね?びっくりだよ!しかも小夏の双子って事はあの相葉くんなんだよね?」
「ほんとびっくり!やっぱかっこいいなー。こんなかっこよかったら最初から髪切ってればよかったのにー」
と二人して驚きつつ褒めてくる。しかもこの二人やたらとスキンシップが多い。二人ともかわいい娘だからどうしていいのかわからない。
そんな僕の気持ちを知らない二人は僕から小夏に質問を変えた。
「てか小夏〜相葉くんがこんなにかっこよかったなら最初から言っといてよー」
「そうそう!それにモールでもあったんだからそのときに言えばよかったじゃん!」
二人は小夏に言い寄ると小夏は苦笑いしつつ
「モールの時は急だったからびっくりしたんだよー。それに」
そこで区切る小夏。何か言おうとしたが口を閉じ、言い淀む。するとどこかから
「てかさー小夏、相葉のこといじめてなかった?」
この発言によりクラスのさっきまであったにぎやかな雰囲気が一気に静まり返った。この発言を機にあちこちから小夏を責める声が
それに対して小夏は黙り、友達もなんて声をかけたらいいのか迷っていた。ここは僕が収めないとだめみたいだ。
「小夏が記憶を無くす前の僕にいじめをしていた事はなんとなく家での様子からわかってた。」
そう言うと小夏は目を見開いてから申し訳なさそうな顔をした。僕はそのまま続けた
「でもさっき僕の名前を聞いたときのクラスの感じからだとみんなも見てみぬフリをしてたんだと理解した。さらに言えばいじめを実行したのは男子だよね?僕の名前を聞いてすぐに反応したから」
淡々と話すと周りは下を向き、実行した男子はより鋭く僕に目線をむけた。
「でももうあの頃の僕はいない。だから僕は小夏はもちろん、みんなのことも責めないし恨まない。だってその時の僕の気持ちを僕は知らないからね!」
と笑顔で答えた。すると周りはホッとし、男子はどうすることも出来ずただただ下を向いた。
これで前の僕はきれいさっぱり無くなった。すると一人の男子がこっちにやってきて僕の肩を組み耳元で僕にしか聞こえない声で「今日、放課後、ここの教室に残っとけ。いいな?」と言って
すぐに僕から離れ、そのときには笑顔で今まで仲良く話をしてました顔で机に戻った。なるほど、気に入らないんだ。根本的に僕のことが。
その後はまた女子たちによる僕への質問やいつ遊びにいく?とかの予定を聞いてきて、僕は苦笑いでそれに応じた。
クラスのことや小夏の事は許したし、もうこの話は終わりにしたいけどまだ終わりにはしてもらえないみたいだ。
放課後か、憂鬱だ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます