第一章 レント村奪還編
第3話 五人の勇者
それからは、残った俺たちに対してバルト国王から感謝の言葉を貰い、バルト国王の家臣ガノンに連れられ別室に移動してこの世界の事を中心に説明を受ける事になった。
この世界での紙幣の事や、魔王について。
魔族と魔物の違いなどを主に教えてもらい。
今後の事についての話をする事となったが、その前に召喚されてからかなりの時間が経過しており俺を含める5人は休憩の意味合いも込めて食事をとってくるように促された。
「こちらになります。」
深々と頭を下げる、メイドが案内した先は豪華な食堂だった。
俺たちは同じ卓に案内され席につく。
食事を待っている間、しばらくの沈黙と気まずい空気が流れていた。
そんな空気に耐えかねた一人の男が軽い咳払いをして話始める。
「ゴホンッ…まぁ、なんだ皆でだんまりとしてるのもなんだしこれから一緒に戦う仲間だ…お互いの紹介でもしないか?」
20代半ばくらいの男性だろうか、ある程度引き締まった身体をしていて赤色の短髪がとても似合う明るいイメージの男性が沈黙を破り提案する。
みんなもその提案に相槌を打つ、数秒の間を開けて男が席から立ち注目させる。
「そうだなまずは言い出しっぺの俺から自己紹介するぜ。
俺の名前は〈レイジ〉盾の勇者らしい、ここに来る前はガイアと言う世界で普通に暮らしてた、スキルだとか職業だとか言われても全くわからんし、こんな変な世界だこれから仲良くして行こうな!」
どうやらレイジはガイアという世界からここアトラタへと来たらしい、自分の紹介を終えて席に着くと
少しふざけたように、ほれほれと言いながら隣の女性に続くよう促す。
それに続いてレイジの横に座っているミディアム程度のふわっとした茶髪の少し自信が無さげで優しそうな少女が席を立つ
「私は、〈ヒマリ〉と申します。
聖女と書いてありました…ここに来る前はアースという世界で育ちました…正直戦いとか死ぬとか物騒だし怖いです…でも、こんな私でも救える世界があるなら…一緒に戦いたいです!よろしくお願いします!」
最初は不安げに話すヒマリだったが、話している途中からハッキリとした口調に変わりその目は意思の感じれる物となっていた。
ヒマリは数秒俺をじっと見つめた後悲しげに目を伏せる。
少し気になったが、ヒマリに続き隣に手前の席に居た長身で金髪の病弱そうな男が続く
「〈ザハール〉、弓の勇者だ。
スターと言う世界から来た。
この世界の事は知らん。
話すのは得意ではない…悪く思わないで欲しい…
よろしく頼む…」
簡素に自己紹介をした彼に続いて横に座っている自信満々な少女、リンコが続く。
「アカギ・リンコ!剣の勇者よ!
地球の日本と言う所からこの世界に来たわ!
この世界の事は知らないけど似たような世界の事は私の居た世界で流行っていたからたくさん知っているわ!
王様も言っていた様に私たちはとても強いからきっと魔王なんて簡単に倒せると思うし、頑張ろうね!」
最後にみんな宜しくねと告げ席に座る。
どうやらリンコは何かとこの世界の事情に精通しているらしい、最初から周りより状況を受け入れている節があったが、そう言う事だったのか。
様子から察するに嘘をついてる感じもない、わからないことがあった時は頼ってみるか…と考えてるとリンコがどうぞと促してきたので俺も席を立ちみんなに続く。
「サトウ・アユムといいます。
俺は賢者らしいです。
この世界に来るまでどこの世界で生きていたか覚えてません。
ただ、俺もヒマリさんと同じで自分の力が役に立つならと思い残りました。
これからよろしくお願いします。」
俺は軽く頭を下げ席に座った。
ヒマリは少し驚いたように目を開いて俺を見たが俺と目があったと同時に頬を掻いて困ったように微笑んだ。
どことなく、懐かしい感覚に襲われながらも軽く会釈し目線を逸らした。
そうこうしてるうちに料理が運ばれてきた。
ほのかに甘い香りがするスープに今にも溢れ落ちそうな肉汁を包んだ豪華なサンドイッチが配膳されていく。
「おぉぉ!!!美味そうだ!!」
レイジが目をキラキラさせながら盛大にそう呟く。
皆も目をキラキラさせながら想い想いに感想を呟く。
「食べ終わりましたら先ほどの部屋へとご案内させて頂きますね。
では、ごゆっくりとお召し上がり下さい。」
メイドが一礼し、その場を離れた後。
全員で食事についた、ここまであった緊張感を忘れて軽く談笑しながらみんなで食事をするのであった。
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