第14話 洞窟トロル②


退路が塞がれ、俺たちはトロルと睨み合いをしていた。


「ゴフゥゥゥ…」


「リンコ!大丈夫か?」


俺は身体を剣で支えてるリンコに問いかける。


「えぇっ!これくらい全然平気よ!」


本当に大丈夫だろうか、足が若干震えている様に見えるのだが…


「アユム!リンコ!俺が奴の注意を引き付ける!

 その間に、なんとか奴にダメージを与えてく

 れ!」


「わかったわ!「了解です!」


レイジが、俺たちに合図を送ると同時にトロルへ盾を向けてスキルを使う。


「シールドバッシュッ!」


トロルはレイジが動いたのを察知し盾がぶつかる前に前足で蹴り返そうとしていた。

それと同時に俺は魔法をリンコは距離を詰めて行く。


蹴りが入る直前にレイジはシールドバッシュを解除して再度スキルを放つ。


絶対防御ジャストガード!」


トロルが放った蹴りがレイジの盾にぶつかると同時に衝撃が流れて行く。

トロルはその様子に一瞬呆気を取られていたが、後ろから飛び込んでくるリンコに気づきすぐにそちらへ集中し始める。


「挑発ッ!」


レイジがスキルを発動するが、トロルは地団駄を踏むように、盾に乗せていた足でレイジの盾を踏み付け剣を握っている手でリンコを振り抜こうとする。


俺はその剣に狙いを定めて威力の高い魔法を放つ。


火弾ファイアバレット!」


剛速で飛んでいった火の弾丸がトロルの剣を絡め取り、片腕を弾き上げた、それと同時にリンコが叫ぶ。


「魔物の分際で!よくも私に恥かかせたなッ!」


リンコは居合の要領で剣を振り抜く。


「剣技ー絶影斬!」


「ゴファアアッ!!」


リンコが放った剣は一瞬のうちにトロルの腕を剣ごと跳ね飛ばす。

トロルの肩先からは大量の血とジュウジュウと音を立てて煙が舞っている。


「私に逆らうからこうなるのよ!とどめよッ!」


リンコがさらに追撃を加えようとするが、トロルはその攻撃をギリギリで交わし後ろへと跳ね飛ぶと同時にリンコ目掛けて平手を放つ。


「油断してんじゃねえ!馬鹿野郎!」


すんでのところで、レイジが割って入りトロルの攻撃を受け止めるが、中途半端な態勢だったため踏ん張りが効かず後ろにいたリンコを巻き込み吹き飛ぶ。


「キャアァアッ!

 痛いわねッ!突っ込んでくるならちゃんと受け

 止めなさいよ!」


「うるせえ!お前が油断するから、咄嗟で体勢が

 崩れたんだろうがよ!ってかお前冷え!」


「…うっさい、ばかッ!」


リンコはレイジを蹴り立ち上がる、レイジは少しイラつきながら立ち上がって態勢を整える。


トロルも俺たちから距離を取り態勢を立て直して俺たちを睨みながら血が吹き出る腕の根本を力ずくで握りつける。


「ゴフアアアァアアアアアッ!!」


煙を上げながら腕から徐々に血が止まって行く。

それと同時にトロルの体が橙色の闘気に包まれる。


「うげぇ…半端ねえなあいつ…」


「レイジさん気を付けてください。

 恐らく今、鼓舞を使って能力を上げてます、

 それに瞬間加速とか言うスキルも持ってま

 す。」


「瞬間加速…?なんだそれ?」


「詳細はわかりませんが恐らく身体強化系かと

 思います、絶対に油断しないでください!」


わかったとレイジが頷く。

トロルは先程以上にこちらを警戒して様子を見ていたので俺は少し考えてこれからの作戦を二人に話す。


「提案ですが、俺が魔法剣でトロルに斬りかかり

 に行きますのでレイジさんはトロルの攻撃を

 受けに来てもらっていいですか?」


「あぁ!任せてくれ!」


「次にリンコ、俺が今から魔法剣でトロルに斬り

 かかるけど、恐らく防がれて反撃を喰らうと思

 うから俺はそれを防ぐ、その隙にさっきの技で

 トロルを仕留めてくれ。」


「えぇ…わかったわ!」


「それじゃ、二人ともよろしくです!」


俺はその言葉と同時にトロルへと駆ける、杖をなぞる様に魔法陣を展開して行く。


魔法剣マジックソード!」


「ゴフアアアァアアアアアッ!!」


トロルは向かってくる俺目掛けて先程拾い上げた剣を全力で振り抜く、俺はそれをギリギリで交わしトロルへと飛び込む、再度トロルが剣を逆袈裟の要領で振り抜くが、レイジが間に入り込む。


「ゴフゥアアッ!」


「クソッ…ガァッ!!」


ガキンと激しい音を立てて鼓舞で強化された剣が盾にぶつかる、その威力に踏ん張りが利かなくなったレイジは吹き飛び俺のギリギリ横をトロルの剣が突き抜けた、ヒヤッとしたが概ね成功だ。

俺は魔法剣を解除し、右手に持っている杖を翳すと同時に左手も翳す。


火弾ファイアバレット!」


「グフゥ……ッ!」


トロルは至近距離で火の弾丸を受け胸の辺りが抉れるが、お構いなしに俺へと頭突きを放つ。

その速度は先程の速度とは比べ物にならない速さだったが俺は左手で先程からありったけの魔力を込め準備していた魔法を使う。


魔法盾マジックシールド!」


「ゴファアアッ!!!」


俺の目の前に盾の形をした魔法陣が展開されるがトロルの頭突きの威力に耐えきれず魔法事、後ろに物凄い勢いで吹き飛ばされたが吹き飛ぶ最中にトロルの首目掛けて剣を構えるリンコが見えていた。


「剣技ー絶影斬!!」


「ゴフアアアァアアアアアッ!」


壁にぶち当たる直前に俺はリンコがトロルの首を斬り飛ばしたのを確認して、意識を失った。


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