第17話 レント村奪還 決行準備①


あれから、あっという間に時間が過ぎて。

俺は、朝を告げる鐘と共に王城の集会場へと

足を運んでいた。


王城から出て少し進むと、大きな建物があり俺は少し緊張しながら中へ入るとそこには、王国の様々な所から集まった騎士や兵士が集まっていた。


俺を見ると、騎士や兵士達は丁寧に挨拶してくれるので、俺も挨拶を返していく。


俺は前日エレノアから渡された紙に書かれていた場所へと、辿り着いたのでしばらくそこで待機しているとエレノアがこちらへ歩いて来る。


「アユム君おはよう」


「おはようございます、エレノアさん」


「今回の作戦なんだけれどアユム君は

 私と同じ部隊になったから、宜しくね。」


「はい!宜しくお願いします!」


そうした簡単なやり取りをしていると一番手前の壇上にガッズ隊長が登りゴホンッと咳払いして話し始める。


「この場の王国騎士、王国兵士一同!

 此度の全体召集、誠に感謝する! 」


「早速だが、本題に入る。

 周知の通りこの度は三月程前に占拠された

 レント村の奪還を今日より五日後に決行する事

 となった! 」


ガッズが勢いよく告げると辺から歓声が湧く、俺とエレノアはガッズの声に耳を集中させる。


「本作戦を行うに至った経緯だが、予定より

 ずっと早く、魔族がレント村へと集まり。

 そこを起点として本格的にこちらへ攻め入る

 準備に入ったからだ。」


「結果的に我々が後手に回る事となったが。

 この機会に奴らの拠点を潰さねば、早い段階で

 手に負えないものとなるだろう。」


ガッズは拳を強く握り込み、顎に力を入れながら悔しそうにしている様子を見せた。


「だがしかし! 数の理はまだこちら側にある!

 それに力強き勇者達も参戦してくれる!

 我々に敗北などない!奴らの侵攻を我々の剣で

 完全に防ぎ切るぞ!! 」


ガッズは鼓舞するように手を上に掲げた。

それに続きここにいる全員が歓声をあげる。


ガッズはその様子をしばらく眺めて、静まったところで作戦の概要を話し始める。


「今回の作戦だが前哨基地の情報によると今の

 レント村は出入口が北と南の二箇所に設けられ

 ていると聞いている。」


「そして、村を占拠する魔族の数は現在で50体程

 それに合わせて魔族が使役する魔物含めて敵の

 数は、およそ250体程だと予測されている。」


「対して我々はここにいる王国兵士約400名

 王国騎士約200名から現在防衛に当たってい 

 る王国兵士約200名うち約100名が医療部隊の

 計800名の部隊となる。」


ふむ…ガッズの言う通りならば魔族軍250に対して王国軍が700の戦いとなるのか。


今回に関してはこちら側が攻める立場になるわけだから、中々に厳しい戦いになりそうだな。


「今回レント村奪還に当たっての作戦になるが。

 まず俺を主軸とした、400からなる部隊で南側

 を攻め込む、魔族と接敵し十分に注意を引き付

 けたら、こちらの部隊から上空に火弾を5発放

 つ。」


「それを合図にベンツ隊長が率いる200からなる

 部隊が北側から攻め込んでいく、そして両方の

 出入口を塞いだ所で再度火弾を5発放つ。」


「それを合図に西側と東側から勇者を含めた残り

 の部隊で村の防壁は破壊して入り込み

 四方からの完全制圧を行う! 」


再度、周りから歓声が湧く。


「以上が本作戦の概要になる!

 単純かつシンプルではあるが、必ずレント村を

 奪還し、我が国の危機を晴らすぞ!! 」


ガッズが再度この場にいる全員を鼓舞し、落ち着いたあたりでこれより各部隊の選定を行った書類を配ると言い壇上を後にした。


その後、俺はエレノアに連れられて部隊の詳細が書いてある紙を貰えたので、俺はそこに目を通す事にした。


ザックリした部隊詳細はこうだった。


南側進軍部隊はガッズ総隊長を指揮官として各部隊の第二隊長と副隊長を副指揮官に置いた400の部隊を。


北側進軍部隊はベンツ総隊長を指揮官として各部隊の第三隊長と副隊長を副指揮官に置いた200の部隊。


東側進軍部隊はエレノアを指揮官として魔導部隊第一隊長のメルと言う人物と防衛部隊の第一副隊長ガドナと言う人物を副指揮官に置いた50の部隊。


西側進軍部隊はレイシスを指揮官として防衛部隊第一隊長のチリと魔導部隊第一副隊長ドグルと言う人物を副指揮官に置いた50の部隊。


後方支援部隊は医療部隊第一隊長のトリトンと言う人物が指揮官として医療部隊第二副隊長のシラセを副指揮官とした100の部隊。


大まかにはこの組み合わせだが、その下にしっかりと各部隊の選出メンバーが事細かく記されていた。


そして俺たち勇者メンバーの配置はエレノア率いる東側に俺とヒマリとレイジ、レイシス率いる西側にザハールとリンコといったように配置されていた。


「中々分厚い書類ねぇ…」


俺が真剣に書類に目を通す横でエレノアがそう文句を零しながらも一生懸命書類に目を通していた。

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