第25話 レント村奪還 開戦④ side:リンコ
北側の門から火弾が6発上がる。
レイシスは顔を少し曇らせるが、少し間を置いて決意した表情で声を上げる。
「皆様、私達には私達の使命があります。
最初にも申し上げましたが、消して楽な戦いに
はならないでしょう。」
「心して掛かりなさい!」
そう言ってレイシスが先導を切り西側の門前まで辿り着く。
「ザハールさん、リンコさん。
緊張しなくて大丈夫っすよ!」
チリが近づいてきてそう耳打ちしてくる。
「わ、私は別に緊張なんてしてないわよっ!」
リンコのいつもの様子にチリは軽く笑う。
「まぁ見てたらわかるっすよ!
レイシス隊長、医療部隊に所属してますけど
めちゃくちゃ強いんで!」
チリがそう言うとレイシスが魔法を唱え始める。
「深淵から来たる、愚かな闇よ、愚かな我に絶大
なる力を示せー深淵の
レイシスが魔法を唱えると、城壁の手前に黒い塊が浮かぶ。
「ねえ?あれ何……?」
「ぜ、全員伏せるっす!!」
チリがそう叫ぶと同時に黒い塊はものすごい勢いで爆発して城壁を跡形もなく吹き飛ばした。
「では、参りましょうか。」
レイシスがそう言うと、伏せていた兵士達も次第に歓声を上げて続く。
「ね?凄いっしょ……?」
「えぇ、でもあの人ちょっと抜けてるのね……」
「リンコさんが言うと説得力あるっすね……」
そんな会話をチリと交えながらリンコ達もレイシスに続く、レイシスはヒマリに続きリンコの極力逆らわないリストにひっそり追加された。
「ヒガシニツヅイテニシモカ…ニンゲン。」
「お退きなさい。」
レイシスは容赦無く魔族と取り巻きの魔物を杖で叩き殺す。
「あら、この程度なら案外楽な戦いに
なってしまいそうですわね。」
リンコ達はレイシスが先導で無双しているのを眺めながら、後ろを続く。
「おい、クソ女!
あんまり私達の村で暴れないでくれるかい?」
そう言って、魔族の女がレイシスに近づいてきた。
「あら、教養の無い、豚ですこと。」
「あん?舐めてんのかババア?」
レイシスが瞬時に魔族へ距離を詰める。
「あら?おば様?私まだ20代ですけど?」
レイシスの強烈な一撃を魔族が剣で受け止める。
「はん!この程度の腕力で20代?
笑わせんなよ!クソババア!」
「杖技ー千手」
レイシスは杖の先端が分裂した様な蓮撃を魔族へ放つが、魔族は余裕を持って全て交わしていく。
「鈍いんだよ! おばさん!」
「あぁ……馬鹿の相手は疲れますわ……」
レイシスと魔族が激戦を繰り広げている所に他の魔族が寄ってくる。
「弓技ー三連星ッ!」
チリが一体の魔族へ弓を放つ。
「あんたらの相手はこっちっすよ!」
「ナンダチビ?オマエガアイテカ?」
「チビ……誰がチビだって……?」
チリが魔族を怒りの籠もった目で睨み付ける。
「オマエイガイニダレガイル?」
「お前ええええええッ!!」
チリが魔族に無防備に飛び込むのをドグルが静止する。
「落ち着けチリ、ここは戦場だ。」
「離せドグルッ!!」
ドグルに掴まれたチリが激しくもがく。
「はぁ……仕方ない、援護するぞ!」
そう言ってドグルも杖を構える。
他の兵士達も魔族を囲むように詰めていく。
「ザハールっ!私達も行くわよっ!!」
「……わかった。」
リンコとザハールも他の兵士と同じように魔族の元へと向かう。
「おっと、あんたら?そこらの兵士達よりも強い
だろう?」
兵士達の元へ向かう途中一体の魔族に止められる。
「何よ? あんた?」
「さあ?なんだろうね?」
「むかつくっ!」
リンコは魔族へ飛び込み剣を振るうが、魔族は易々と受け止める。
「弓技ー三連星」
ザハールが後衛から魔族へ弓を放つ、魔族は距離を取り、矢を交わしていく。
「意志の
「しつこいわねぇ……」
魔族は再度ザハールの放った矢を放つがそれも容易く避ける。
「剣技ー絶影斬ッ!」
「へぇやるじゃない、そこそこ早いわね」
魔族はリンコの剣技を剣で往なす。
が、先程放ったザハールの意志の矢が背中に刺さり魔族が態勢を崩す。
「剣技ー
「……ック!」
魔族は態勢を崩しながらギリギリでリンコの剣を受け止め、リンコを蹴り飛ばす。
「キャアッ!」
「あーあったま来た。
お前ら絶対殺すわ。」
魔族が殺気を放ってこちらを睨むと後ろからガイコツの様な魔物が魔族の元へやってくる。
「おい、骨あんたは、あの弓な?」
ガイコツは素直に首を縦に振り、ザハールの方を向く。
ーー
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