第49話 闘技場での真剣勝負
アレクは国の要請により王国へと赴いた。
騎士団の人たちが出迎えてくれたが、国王の命令であるのが明白だった。
丁寧な対応により騎士団の人に案内されたアレクが行き着いた場所は闘技場だった。
地面は土で敷き詰められ、その周りは円形の壁に囲まれている。
出口が塞がれば逃げることができない。
壁の上には大勢の観客が座れるようなベンチ式の椅子が円形の壁に倣うように置かれおり、地面を見下ろす配置になっていた。
観客席の中でも特等席であろ位置に王妃である人と、隣に王女である少女が見られた。
王妃を挟むように、隣にもう一人の人物がいた。コートを着た獣の耳をした人物である。
アレクはどこかでこの人物と会ったことがある気がした。
その思考に耽っていると、王妃の人が言葉を発した。
「アレク殿、よくぞ参られた。私はブルタニア王国の王妃である。先日、貴殿がキラーベアを何十体も倒したとの報告が入り、その実力を見てみたくなり、招集した次第である。したがって、貴殿には申し訳ないが、王国随一の騎士団長と試合をしていただきたい」
アレクにとってキラーベアを倒したのは何ヵ月も前のような記憶に思えた。
アレクが反論しようとすると、中年より少し若く、大剣を携え、鍛え上げられた肉体に鎧を纏った大柄な体躯の男が地面を歩きながら入場してきていた。
この男が騎士団長であると察しがついた。
アレクが闘技場に案内される前に一般兵から剣を渡された時点で戦闘を想定しなければならかったのだ。
「いざ、尋常に勝負をお願い致します」
男の掛け声と同時に騎士団長とアレクは剣を抜いて構えた。
これから勝負が始まるのだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。