第26話 こっちですよ、アレクさん


14日間で金貨300枚を手に入れるにはどうしたらよいのだろうか。




一つ、エリスに土下座してお金を貸してもらう。


本気で頼み込めば、なんだかんだで貸してくれる気がする。有力な案の一つだ。


しかし、今はエリスに会いに行きたくない。却下だ。




二つ目は冒険者ギルドに登録して一攫千金を狙う。


低ランクの依頼なら報酬は少ないが、命を落とす危険性は低い。


高ランクなら一攫千金は狙えるが、命を落とす危険性は高い。




この中から選ぶとしたら後者を選択するしかない。それに、旅をするときは依頼を受けて日銭を稼ごうとしていたのだ。そんなわけで二人は冒険者ギルドの受付に来ていた。




「以上で冒険者の登録は完了致しました。依頼を受けたいときは掲示板で好きな依頼を受けてください」


受付嬢のお姉さんから簡単な手続きで冒険者登録をすることができた。




駆け出しの冒険者は最低のFランクからスタートする。


実力と結果主義によってランクが上昇するシステムだ。


適正検査や魔力測定の結果次第で最初から高ランクで冒険者登録ができるようだが、アレクは測定を受けなかったのでFランクからスタートだ。




依頼は自分のランクに見合った依頼を受けるのが基本である。依頼の達成率に応じてランクが上昇する。


低ランクでも高ランクの依頼を受けることはできる。その時の達成率は低く、命を落とす危険性が高くなる。その代わり、達成することができれば、一気にランクアップできる上昇率は高い。


諸刃の剣のようなランクアップであるため、普通の人はそんなことはしない。




アレクとソニアは依頼の掲示板を眺めている。


全ての依頼が一つの掲示板に貼りだされているため、自分のランクに合った依頼を探すのは難しい。


アレクは偶然目に留まった薬草採取の依頼を見つけた。


ポーションの素材となる薬草を採取すること。Eランクで報酬は1kg当たり銀貨30枚。


銀貨100枚で金貨1枚に相当する。1000kg集めれば金貨300枚に相当するのだろう。




最初はこれにしようとアレクは張り紙を掴もうとする。


ところが、ソニアの方が張り紙を掴むのが早かった。




「こっちですよ、アレクさん」




ソニアの手にした依頼内容はキラーベアの討伐。報酬は討伐1体につき金貨10枚


王国を悩ませる最も厄介な魔物である。


討伐証明としてキラーベアの角を持ち帰ること。最高Sランクの依頼である。




「ちょっと、ソニアさん本気なんですか?」


「姉さんを助けるには最低これくらいの報酬でやってもらわないと困ります。」




ソニアはキラーベアの討伐依頼を受付嬢のところへ持って行った。

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