第51話 あの日の光景
この事態には王妃と騎士団長も想定していなかったようだ。
「これはいったい何事だ。アレはまだ、実験途中であったはずであろう。すぐに、檻に戻しなさい。」
王妃の発言により、一般兵と騎士団長は謎の巨大生物に立ち向かう。
目の前に現れたのは合成獣だった。
王国が秘密裏に研究しているであろうそれは、暴走しているところから、制御できていない実験段階なのだろう。
これは王宮内での問題であるため、アレク殿はお逃げください。
騎士団長が気を遣って逃げるように促した。
王宮内の兵隊が総動員で鎮圧に向かっている。
アレクは騎士団長のお言葉に甘えて、戦闘を背に踵を返した。
手柄を立てて目立つことはしたくないので、王宮内での処理に任せることにしたのだ。
その途端、背後で少女の悲鳴が聞こえた。
振り返ると、王妃と王女に向かって合成獣が口に火炎の塊を蓄えていたのだ。
今にも吹き出しそうなそれは、騎士団の防衛では間に合わない。
アレクはその場を見過ごすことができるかどうかを考えていた。
怯えている王女の姿を見た時、その脳裏にエリスの姿が重なった。
もう、迷いはなかった。
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