第18話 やっぱり、あなたはバカなんですね
馬車の中は見張り役として盗賊が一人いた。油断している盗賊は眠っていた。
ちなみに、捕らわれていたのはアレクと猫耳少女だけではない。
おじいさんも、なんだかんだで、とばっちりを受けて馬車の中に捕らわれていた。
「私には妹が誘拐されていて、探し出さないといけないの。
だから、こんなところで奴隷として捕まるわけにはいかないの」
「それならきっと、その妹は奴隷として捕まっているはずじゃよ」
「そんなぁ・・うっうっ」
おじいさんの無慈悲な言葉を聞いた猫耳少女は涙を流しながら現状の絶望に涙を流していた。
「とにもかくにも、ここから脱出する必要があるということですね」
これを聞いたおじいさんと、猫耳少女は呆れていた。
「お前さん、それができれば苦労はしないんじゃよ」
「やっぱりあなたはバカなんですね」
二人からあまりにもバカにされたアレクは、腹が立って自分を縛っていた縄を解いてしまった。
それを見た二人は唖然としていた
「お前さん、それをどうやって解いたんじゃ」
「たまたま、自分を縛っていた縄が緩かっただけですよ」
無論、嘘である。
アレクの魔法にかかれば縄を解くのは簡単であった。
アレクは猫耳少女とおじいさんの縄を解いてあげた。
二人はこれまでの窮地から信じられないというような表情をしていた。
「縄が解けたのはいいとして、お前さん、これからどうするんじゃ」
「目の前の眠っている盗賊を縛り上げます」
気持ちよく眠っている盗賊を三人で縛り上げると、目を覚まし、ドタバタと暴れ始めた。
すると、もう一人の盗賊が様子を見に中に入り込んできたので、それも三人で抑え込み、縄で縛り上げた。
最後に、馬の手綱を操っていた残りの盗賊を取り押さえるのに苦労はしなかった。
馬車を止めて、盗賊三人を縛り上げた状態は、先ほどまでのアレク達三人と立場が入れ替わったようなものである。
アレクは盗賊に見返りとして渡した、エリスから授かった短剣を取り返し、もう一度自分の懐の中に収めた。
おじいさんの馬車も無傷で自分のところに返ってくることができた。
縛り上げた盗賊三人は次に向かう都市ブルタニア王国の警備隊に引き渡すことにした。
無事にブルタニア王国に到着したアレク、猫耳少女、おじいさんの三人は、ここでお別れをすることにした。
「短い道中、いろんなことがあって世話になった。ありがとう。二人とも達者でな」
そう言ったおじいさんは馬車を動かし、僕たちから遠ざかっていった。
残されたアレクと猫耳少女は、しばらく二人きりで無言のまま隣に並んでいた。
やがてアレクは「それじゃ、またな」と言って猫耳少女に背を向け、歩いて行った。
アレクと猫耳少女の距離が少し離れたとき、猫耳少女の声がアレクの歩む足を止めた。
「待ってください。先ほどの縄を解いた件、盗賊を簡単に抑えむことができたのは、隠れたあなたの力によるものだと私は思います。」
「だとしたら、どうだっていうんだよ」
アレクの返答に、猫耳少女は言葉を続けた
「先ほどはバカだと言ってしまったこと。深くお詫びします。もし、許されるなら、私の妹、すでに奴隷として捕まっているかもしれない妹を救っていただけないでしょうか」
「私ができる範囲でなら、お礼をします。どうか、妹を助けてください」
アレクは猫耳少女から懇願されていたのであった。
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