第6話 騎士団への入団希望
騎士団長のエリスは代々、国を守る国家騎士の名家である。
父は戦争で亡くなり、エリスが若くして家督を引き継いでいる。
さらに、肩書きだけではなく、名実ともに騎士団長の地位を占めている。
幼い頃から身分に関係なく、遊んでいたことがあった。
近所の子供たちにいじめられていた時には、エリスが駆け付けて守ってくれたこともあった。
常人なら危機的状況であるこの場にも駆け付けてくれていた。
「どうしてここに来てるんだよ」
「それはこっちが聞きたいくらいよ。とにかく話は後、今はこいつに集中しないと私一人ではマジでやばいから。」
剣の構えから油断できない状態であることが伝わってきた。
俺はエリスを陰ながらサポートするために重力操作魔法をかけておいた。
サソリの範囲のみに倍の重力を掛けることで相手の動きを鈍らせたり、動けなくする魔法だ。
強力に重力を掛ければ相手を倒すことは十分にできるが、今回はサソリの動きを極力鈍らせる程度にしておいた。
相手の動きが鈍くなったのをエリスが見ると、高く跳躍し、巨大なサソリを真っ二つにしてしまった。
落ち着いたエリスはこちらに向き剣を向けた。
「なんであんたがここにいるのよ」
脅迫のような素振りに俺は答えざるを得なかった。
「山の木の実を取りに行こうとしたら、迷いこんでしまったんだ」
嘘である
エリスは疑念を抱いていたが、納得してくれたようだ。
「とにかく、ここは危ない区域だから深入りはしないことにしなさいよ」
「わかったよ。気を付ける。ところで、エリスはどうしてここまで来てたの?」
「今日は非番だったから、久しぶりにあんたの家に行ったら森に行ったって言うから、見に来てやったのよ。あんたが森にいなかったから、危険区域にいるんじゃないかと思ったのよ」
なんと心優しいことだろうか
「心配かけてごめん」
「別に心配なんかしてないから、本当はたまたま森に入って行こうと思っただけなんだからね」
エリスは慌てた素振りで弁明していた。
俺は正義感の強いエリスの役に立ちたい、陰ながら守りたいと思った
だから俺は騎士団に入団する決意を固めたのだ。
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