第38話 猫族の村


アレクと猫耳姉妹は猫族の村へと入って行った。




村人がレインとソニアの姿を見つけると、若い男の一人が声を上げた。




「レインとソニアの姉妹が帰ってきたぞー」




その声を聞いた村人たちが一斉に姉妹を取り囲むように駆け寄って来た。


皆が二人に声を掛け合っていると、後から一人の老人が歩いてくる。




「村長!」


どうやらその老人は村長らしい。


「よく無事じゃった!」




「おじいちゃん!」


ソニアが老人に抱きついた。




「おぉ、ソニアよ。お前が拐われてから皆が心配しておったんじゃ。


レインが皆の反対を振り切り、一人で助けに行ったときは、娘どころか孫まで失ってしもうたと思っておったんじゃ。」




「おじいちゃん、心配かけめごめんなさい」


レインが謝罪すると、老人は笑っていた




「無事だったなら、もうよいのじゃ


ところで、どうやってソニアを助け出すこどができたのじゃ?」




「アレクさんが助けてくれたんです」


老人の問いかけにソニアが返答した。




ソニアがアレクを見ると、その場の全員がアレクに注目した。


「お初お目に掛かる。私は猫族の村長を務めておるタベルと申す。ソニアが言ったことは本当ですかな?」




「本当です」


事の細かな経緯は伏せておくことにする。




「それは本当にありがとうございました。レインとソニアをここまで無事に送り届けて下さり、感謝の念が絶え間せぬ」


タベルのおじいさん以外は疑念の目をしている。




「礼にはおよびません。私の役目はここまでのようですので、これにて失礼いたします。」




アレクは踵を返して村の門出口に向かって歩きだす。


ところが一歩目を踏み出したところで、何かがつっかえて前に進めない。


後ろを振り返ると村長のおじいさんがアレクの袖を摘まんでいた。


これは見たくない光景だった。




「アレク殿、大したもてなしはできませぬが、どうか2、3日だけでもここに滞在してくだされ」




これをされると断れないのである。


「わかりました」




こうしてアレクは猫族の村に2、3日滞在することになった。


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