第38話・兆しのない悪意-4
いくら今悩んでも仕方ない。
せっかくの休日だし、もうちょっと休もう。
「ロキナ、私、もう少し寝るわ」
「かしこまりました、お嬢様」
眠いっていうわけではないけど、騎士がない私には、町に出かけることも危ないし、特にやるべきことも思いつかない。
だとすると、やはり寝るしかない。
寝て、気分転換して、そしてうまい作り笑顔で、ミカレンとエリナのことを受け入れなきゃ・・・
ロキナは返事をして部屋の扉を閉め、そして私も再び眠りについた。
どれぐらい経ったか分からないが、再び目覚めた時には、夕日が私の顔に黄金色を落とし、眩いほど、綺麗。
こんなにぐっすりと眠れたのはいつぶりかしら。
前世ではずっと色々なことで忙しくて、自分のための時間がなかった。とはいえ、これからの自分には生徒会の仕事がなくなるから、相当暇になるでしょうね。
今日は本当にいい日ね。少なくとも他の者にとっては。
ちょうどテスト結果発表のパーティーが始まっているころね。国王陛下に名前を読まれるのは、貴族にとっては極めて光栄なこと。地位の低い子爵や男爵、さらに平民にとって、これは一生の記憶に残る名誉になる。
そうだ、ロタシもとても興奮しているに違いないわ。
前世での彼の成績からすれば、今回は確実に二位になれる。平民が生徒会の書記になるのは、史上初の快挙よ。
どう祝うか考えておかなきゃ。
いや…それはできないわ。だって今の私は、彼とは面識がない。
そして私は?一科目欠席で、その前の科目の答案も意識がはっきりしない状態だった。
一応前世の記憶があったから、生徒会幹部にはなれる成績だと思うけど・・・
でもそれは、ジレンマに陥って、ややこしいことになるだけね。
前世では平民副会長のロタシと良好な関係だったけど、立場が逆になると、私が大人しく平民の指示に従えるわけないわ。
結局私は昔のままの傲慢で利己主義な女だから。
やはり退会届を書いておこう。病気だからちょうどいいかもしれない。もう暫く仮病を続けて、隙を見て退会しよう。
「ロキナ、紙と筆を用意してちょうだい」
客室まで行ったが、ロキナの姿が見当たらない。
おかしい、いつもなら、外で待っているはずなのに。父上も直接パーティーへ行って、家には戻っていないらしい。
「ロキナでしたら、さっきお嬢様が学院に残してきた衣服を取りに行きました」
別の従者がそう言った。
「そう、では羽ペンと紙を持ってきてーー」
ちょうど話しているところを・・・
「お嬢様!いいお知らせがあります!!」
ロキナの興奮した叫び声がドアの外から聞こえてきた。
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