第34話・幸せの二律背反-4

でも、えっ?国王陛下が?パーティーに来るの?


 こんなことは前世ではなかった。前世ではいつものテストの様に、ただ成績を学校の掲示板で発表して、皆に見せただけだった。


 今回国王がこんな大げさなパーティーを開く理由はたった1つしか考えられない。


 それは、前世とは違って、今回は正統な王族で、未来の皇太子カシリアが一位をとって、生徒会の会長になったから。


 殿下が一位の栄誉を手に入れたから、当然盛大なお祝いがある。その感情は理解はできるわ。でも私は、テスト中に倒れ、情けない成績になってしまったのよ。哀れな目で見られたくないから、今回は行きたくないわ。


 「そ、そうなんですか…それはすごいですね…でも残念ながら父上、私はやはり体がまだちょっと…だから祝賀会には出られそうにありません。今回は父上が私の代わりに参加してください。」


 「そ、そうか…」


 父は躊躇いながら言った。


 まるで何かの別のことを考えているような、落ち着かない表情をしている。


 父上の考えていることは大体想像できるわ。明日はエリナとミカレンを連れて来ることができなくなって困惑しているのよね。でもいつかは連れてくることになる。


 その何時か、明後日か、明々後日かは私には分からない。父上にも明確な答えは出ていないのでしょう。


 その後、父と私の間に、何とも言えない気まずさが漂った。


 そもそも父とは最初から何も共通の話題がなかった。以前から学校の成績や嬉しかったことの話以外は、母上の話題しかなかった。


 本当にひどい気まずさだった。話し合えない父と娘、どう見ても家族団楽という言葉とは無縁だった。


 最後に、昨日と同じように、ロキナに手伝ってもらいながら特別食を食べた。父上も夜遅くまで付き添ってくれた。そして領地へ戻っていった。


 カロリン医師の話によると、薬は今夜が最後で、明日から少しずつ活動を再開していけるそう。


 学院全員が参加するパーティー?それは本当に盛大なものになるわね。


 せめて2位にでもなって、生徒会副会長になれたら、父上もパーティーで話題になるのかしら?


 そんなどうでもいいことを考えながら、静かに眠りについた。


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