第29話 テスト勉強
今日は朝から雪で電車が遅れていたりと、かなり混乱の起きた日だったんだよね。
すでに学校は学年末テスト一週間前になったので、部活とかも原則休みになっているんだ。
放課後、英梨ちゃんと一緒に帰ることにした。
もう昨日のうちに親にはクラスメイトと勉強会をするって言っているので、静かに勉強会をできると思う。
「ミッチー、今日はありがとうね。勉強会を開いてくれて」
単語帳を見ながら、英梨ちゃんは話しかけてきた。
「大丈夫だよ。一人で勉強するよりは時間も延びると思うよ」
「そうなんだ! うちは弟と妹が二人ずついるから、めちゃくちゃうるさくて……集中しづらいんだ」
「家族が多いんだね。英梨ちゃんところは」
「うん。うちを含めて五人姉弟だよ。父方の祖父母も暮らしてるから、九人家族だよ」
英梨ちゃんが一番上のお姉ちゃんだったことは、結構納得できたかもしれない。
いつもクラスメイトをまとめているし、それは弟と妹たちをまとめていることに繋がるみたい。
「ミッチーのところは? 文化祭のときお兄ちゃんは見たことあるけど……」
「うん、あとは両親だから四人家族だよ」
「へぇ~。人数少ない気がする」
「そうだね。英梨ちゃんは家族、多いからね」
英梨ちゃんは単語帳を制服のポケットに入れて、地元の最寄りである
「そうだね。でも、いまはお兄ちゃんは彼女さんと暮らしてるから、実質三人暮らしになってるけどね……」
「え、いいな~」
駅を出て少し歩いたところにあるわたしの部屋で勉強を始めた。
「それじゃあ。始めよう!」
わたしは普通に苦手な教科から、取りかかることにした。
学年末テストは学年全体の評定も決めるので、いままでの定期テストよりもかなり大切なテストの一つなんだよね。
三年生の一学期末までには、できるだけ成績を上げていきたい。
わたしは化学のワークを出して、教科書を参考に答えを計算して出していくんだけど、その結構計算がめんどくさい。
「英梨ちゃん、そっちはどう?」
「う~ん……全然わかんない。もう化学赤点ギリギリでも大丈夫かな?」
英梨ちゃんも化学で少し苦戦していて、お互い頭を使ってボーッとしているときだった。
ドアをノックした音が聞こえて、母さんが部屋に飲み物とお菓子を持ってきてくれた。
「ありがとう。母さん……」
「ありがとうございます」
「勉強は糖分も必要だし、おやつとして食べなさい」
母さんがタイミングよく持ってきてくれたので、糖分補給と息抜きを兼ねて食べることにしたの。
「おいしいね、このパンケーキ!」
「これ、近所にあるカフェだと思うよ。あそこ、テイクアウトもしてるから」
このパンケーキの味は近所にあるカフェで、小さな頃から食べ慣れた味だったのでホッとしている。
「あとで帰るときに教えてくれる? 行ってみたい」
「いいよ」
完食してキッチンに食器を片づけて、部屋に戻って勉強を再開した。
ひたすら化学はワークと教科書をにらめっこしたり、英語はコピーしておいた単語と文法の対策プリントを繰り返し解いたり、数学はワークの問題を教科書やノートを見て解いたりしている。
英梨ちゃんは古典の活用形で苦戦しているみたいだ。
たまに文法が乗っているワークを見ていたけど、いまは世界史のワークを解き終えて答え合わせまでいったみたい。
「世界史のワークの答えって持ってる?」
「うん、持ってるよ。これでしょ?」
わたしはワークの答えが載っているプリントを渡すと、英梨ちゃんは赤ペンで答え合わせを始めていた。
「ミッチー、ありがとう。これ、返すね」
「うん。今日はここまでにする? もう六時すぎだし」
時計を見ると午後六時を少しすぎていた。
「うそ!? そんなに時間が経ってたの?」
英梨ちゃんはバタバタと教科書とかをリュックにしまって、部屋を出る準備をしている。
「わたしが送ってくよ。駅まで、カフェは後日でもいいかな? 余裕がなさそうだし」
「いいよ。駅まで送ってくれると、ありがたい」
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